たまに人生にスッ転んだような気がする日は

小さい夢を叶えることにしている

 

つい最近したといえば

さくらんぼ餅を大人買いして大人食いをすること

小さいころから好きだった駄菓子屋さんに売っていた小さい四角い餅ではないのに餅という名の

さくらんぼの味もしないけど ピンクで郷愁を誘うお菓子

つまようじで突き刺して食べる

ちまちま ちまちま

私はあれが好きでいつもお小遣いをつぎ込んでいた

ある日百均においてあるのを見つけて いつか買おうと思っていた

そしてスッ転んだ日に大人買いをした

2つで100円

4つ買ってやった

200円だった

 

家に帰って女体に飢えた青年男子のように その包装を引き裂くように剥ぎ

そしてそのピンク色に突き立てた

もちろんつまようじをさくらんぼ餅に、だ

それから子どものころのようにちまちま ちまちまと食べ

おもむろに2つも ひと時に2つも突き刺し

あろうことか2つごと口に入れてやった

大人になった気がした

 

一瞬 昔見た全員集合で加藤茶と志村けんがフェンシングの剣みたいなのにグレープフルーツを投げ合い

その剣に次々と刺さるのを見せる芸を披露していたところが脳裏に浮かぶ

サブリミナルのように。

スイカの早食いでもなく グレープフルーツの串刺し

 

こんなに大人になったんだから人生に躓くことぐらいあって当たり前

挫け そして立ち上がりここまで来たからこそさくらんぼ餅を2つもいっぺんに食べられることができるのだ

たいしたことない また立ち上がればいいさ

 

たった200円で私は立ち直り その日はいつも通りぐっすりと眠った

 

それからというもの挫けたり転んだ日は

子どものころに夢みた小さい夢を叶えることにしている

小さいことだけど 大人になったことを実感してかみしめることができる

我ながら悪くない解決策だと思う

 

今日も小さい夢を叶える日

今回は

「茶碗蒸しを丼ぐらいの量食べてやる」夢

丁寧にだしを取って新鮮なたまごを手に入れた

仕込みをして今まさに蒸し器が湯気を立てている

 

あと10分弱で またひとつ夢が叶います