私は監視されています

 

こう書くと怪しいかもしれない

だが 絶対に監視されている

世の中のあらゆる配達業の人に

 

そうでないと一日中楽しみに待っていた荷物が

私がトイレに入り抜き差しならぬ状況になった瞬間に届くはずがないはずだ

トイレは数回行った

それはすぐに応対できる

平たく言えばおしっこだ

だがしかしチャイムが押されたのは私がうんこを産み落としたまさにその瞬間だ

軽く拭いて応対しようとも一定の時間はかかる

 

前の住まいでもそういうことはあったが

トイレが吹き抜けに面しており 窓があったため

「はーい お待ちくださーい」鈴が鳴るような美しい声で配達の方へお願いをし

何食わぬ顔で尻を拭いて応対していた

はんこをつく手が濡れていたためにごわごわしてしまった伝票で気づかれたかもしれないが

どうってこたあない よくあることさ

前の住まいの場合は再配達の必要があるのでチャイムの後しばらく待ってくれた

なんだったら チャイムを2度3度と鳴らしノックなんてしつつも 呼びかけてくれたりもした

尻を拭く時間はある

キレがよいならなおさら

 

対して今の住まいは宅配ボックスという奇跡の箱が設置されている

チャイムが鳴るとインターホンで応対するのだが

配達業の方にとっても宅配ボックスは奇跡の箱

チャイムを鳴らしても反応がないとみなせばすぐさま放り込んで配達完了とできる届け損ないのない素敵なシステムだ

むしろ重い荷物を持ってエレベーターに乗るなどのうっとうしいなにやらを回避できるときた

不在で宅配ボックス>在宅でお届け

私だったら宅配ボックスに入れて帰りたい

 

ただ 魔法の箱にも受け取り側には欠点がある

それは重いものを注文したときだ

家まで持ってきてほしいがために通販したのにもかかわらず宅配ボックスに入れられてしまったことが数回あり悲しみにくれたのだ

あまりに便利な宅配ボックスに甘え 指定日配達をするのを忘れていた

重い荷物を引きずるように運ぼうとしていたら管理人さんに発見され 同情から運んでもらうという迷惑をかけてしまった

それから絶対に玄関まで来てほしいときは確実に受け取れる日に指定することを徹底している

 

それなのに。

 

指定日指定時間の2時間

永遠のような2時間

心静かに待つのだけど出物腫れ物時間嫌わず

腸の蠕動運動はやがて激しく 肛門をけたたましくノックする

いや 待て 待つんだ

受け取りなんて数秒だ 受け取りをしてからゆっくりと相手をしてやるから

ガス抜きをしつつなだめすかす

2時間のうちの数分に来る確率などたかが知れている・・・!だがもう限界・・・!と

トイレへ飛び込みパンツを下ろし 緊張と緩和を過ぎたそのとき

 

ぴんぽーん

 

まさかの事態だ

素早い動きでトイレットペーパーを引き出し

折っては拭き

折っては拭き

パンツもそこそこにインターホンへ走る

 

「は はい!」

大きな声も空しくエントランスに響くだけ

そこに配達業者はない

ただあるのはエントランスの眺めだけ

それだけ。

 

こんなこと一度や二度では済まず

戻って尻をやけになって拭いたことは幾度となく。

数回目で結論に至ることに

 

私は監視をされています


監視された情報を共有されているようで

最近 郵便局まで加わったような気がします