母のお腹に第一子を身籠る。

それが私だ。


その時の記憶は全くないが、母は思い出したように出産前日に何があったかをかたる。


父の逆鱗にふれた理由ははっきりしないものの、姑が父に突き飛ばされ、食器棚のガラスが派手に割れたというのだ。


実の母親にもしばしば怒鳴り、暴力を振るっていたのか…


大変なところへ嫁にきてしまったものだと目を細めながらため息をつく。


次の日、難産の末私が産まれた。

私が女の子だと分かると、父の落胆ぶりに母は複雑な気持ちだったようだ。


そう、母以外には望まれない誕生となる。