日本版「スパイダーマン」 | ねこギター

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ストーリー・平井和正、劇画・池上遼一「スパイダーマン」

これは、昭和51(1976)年に朝日ソノラマ・サンコミックスから刊行されたもの。

最初に読んだのは、これに遡る6年前、昭和45(1970)年の月刊「別冊少年マガジン」連載時だった。

夏休みでいつも行く駅前の本屋で汗をだらだら流しながら立ち読みしたことを今でも憶えている。

ヒーロー物を否定するかのような救われない結末や、最終回はついにスパイダーマンに変身することもない終わり方と言い衝撃的な劇画だった。永らくコミックス化されなかったので、よけい思い入れの強い作品になった。


その後の池上遼一は、「ひとりぼっちのリン」から「I餓男」、「男組」と次々に夢中にさせてくれた。

一方、平井和正は、ハヤカワ文庫SFのウルフガイ・シリーズ「狼の紋章」「狼の怨歌」に熱狂した。

アダルト・ウルフガイ・シリーズでは、「スパイダーマン」のストーリーを使って2作品が―「スパイダーマンの影」が「人狼、暁に死す」に、「虎を飼う女」が「虎よ!虎よ!」に―リライトされた。

そしてウルフガイ・シリーズの表紙・挿絵を担当した生頼範義が、このサンコミックス版「スパイダーマン」の表紙を描いている。ダビデ像みたいにリアルな筋肉がかっこいい!


ついでに言えば、水木しげるも大好きな漫画家で、つげ義春も池上遼一も同時期水木のアシスタントをしていた。「鬼太郎」やその他短編を読むと、ああ、ここはつげさんが、ここは池上さんが背景を描いてるんじゃないかなあと楽しみがある。(「終電車の女」なんか主人公の顔がつげさんだ。)


スパイダーマン