私、二十代前半に

結婚しようと思った男性がいた

 

彼がカッコよく見えて

(当時は目が節穴だった)

この人しかいないと思っていて

 

だけど

彼の家族との相性は最悪だった

 

ある夏祭りの日

彼の家に招かれたんだけど

私、緊張しまくって

うまく話せなくて

彼の家族と話が合わなくて

隣に座っている彼に助けを求めようとしたら

 

 

そこに彼がいなかった

 

 

彼はお父さんと縁側で花火を見ていた

 

 

私は独りぼっちだった

 

 

これ、何?

 

この状況って何?

 

なんだかよくわからなくて

気づいたら私は泣いていた

 

「なによ、私たちが泣かしたみたいじゃん」

彼のお姉さんに嫌みを言われた

 

彼は私を連れて

彼の部屋に行った

 

「なんだよ、女同士、うまくやってくれよ」

彼はそう言った

 

2人で会っている時は

マメで優しかった彼は

家では別人だった

 

ショックだったけど

彼を責めきれないでいた

 

自分が悪いと思った

 

 

心屋を知った今ならわかる

 

彼を使って私は自分を責めたかったのだ

 

わざわざ合わない相手を選んで

イヤな状況引き寄せて

そうまでして

自分にダメ出ししたかった

 

 

悩んで落ち込んだ私に

手を差し伸べてくれたのは

新興宗教だった

当時は自己啓発の顔をしていたけど

 

それがきっかけで彼とは別れた

 

結婚したかったと言った彼に

罪悪感を抱いた

 

今思うとこの辺がバカ

彼は最後に捨て台詞とか吐いたのに

それさえも私が悪かったからとか

本気で思ってた

 

彼と別れてしばらくして

宗教もやめた

 

あの宗教は

私を彼と別れさせてくれるために

存在したのだろう

ありがとう、感謝してる

 

私はずっと彼の事引きずっていた

 

仕事を変えた

新しい職場で先輩と出会った

 

好きなタイプじゃなかったけど

話が合う人だった

 

先輩は変わったところがあって

会社でちょっと浮いていた

だんだん

イヤな面が目につくようになり

嫌いな先輩になった

 

私はまだ元彼のことを引きずっていた

相変わらず自分を責めていたのだけど

ある時

何がきっかけか忘れたけど

私が元彼に無理して合わせていたと

気づいたことがあった

 

よくよく考えたら

彼の好きなモノは

私の中にはないもので

だから憧れだったんだろうけど

彼と一緒に居る間

私は私の好きなことを封印してたと

気がついた

 

自分を生きていないのだから

苦しくて当然だった

 

じゃ、私は何が楽しんだろう

どんな風に過ごしたかったんだろう

 

私は本を読んだり

美術館に行ったり

アニメの話で盛り上がったり(笑)

そういう時間を共有したかった

 

元彼にはそういう要素が無かった

 

本当に自分が求めているものが見えた時

そんな自分にしっくりくる人が

側にいると気がついた

 

嫌いだと思っていた先輩だった

 

本の話も美術の話も

アニメの話もできる

 

あれ?

もしかしてこの人

本当はいい人かも。。。

 

一度いいところが見えだしたら

後は良いところだらけだった

 

心屋を知ってわかったけど

嫌いなところは

私自身が嫌っている私

 

 

この人は

私が私でいられる相手かもしれない

 

そう思って結婚した先輩が夫さん

 

夫さんの家族も友達も

みんな私のこと歓迎してくれて

みんな喜んでくれた

 

嬉しかった

 

あの時

元彼と結婚しなくて良かった

 

自分を殺したまま結婚しなくて良かったな

 

 

おしまい