私、二十代前半に
結婚しようと思った男性がいた
彼がカッコよく見えて
(当時は目が節穴だった)
この人しかいないと思っていて
だけど
彼の家族との相性は最悪だった
ある夏祭りの日
彼の家に招かれたんだけど
私、緊張しまくって
うまく話せなくて
彼の家族と話が合わなくて
隣に座っている彼に助けを求めようとしたら
そこに彼がいなかった
。
。
。
彼はお父さんと縁側で花火を見ていた
私は独りぼっちだった
これ、何?
この状況って何?
なんだかよくわからなくて
気づいたら私は泣いていた
「なによ、私たちが泣かしたみたいじゃん」
彼のお姉さんに嫌みを言われた
彼は私を連れて
彼の部屋に行った
「なんだよ、女同士、うまくやってくれよ」
彼はそう言った
2人で会っている時は
マメで優しかった彼は
家では別人だった
ショックだったけど
彼を責めきれないでいた
自分が悪いと思った
心屋を知った今ならわかる
彼を使って私は自分を責めたかったのだ
わざわざ合わない相手を選んで
イヤな状況引き寄せて
そうまでして
自分にダメ出ししたかった
悩んで落ち込んだ私に
手を差し伸べてくれたのは
新興宗教だった
当時は自己啓発の顔をしていたけど
それがきっかけで彼とは別れた
結婚したかったと言った彼に
罪悪感を抱いた
↑
今思うとこの辺がバカ
彼は最後に捨て台詞とか吐いたのに
それさえも私が悪かったからとか
本気で思ってた
彼と別れてしばらくして
宗教もやめた
あの宗教は
私を彼と別れさせてくれるために
存在したのだろう
ありがとう、感謝してる
私はずっと彼の事引きずっていた
仕事を変えた
新しい職場で先輩と出会った
好きなタイプじゃなかったけど
話が合う人だった
先輩は変わったところがあって
会社でちょっと浮いていた
だんだん
イヤな面が目につくようになり
嫌いな先輩になった
私はまだ元彼のことを引きずっていた
相変わらず自分を責めていたのだけど
ある時
何がきっかけか忘れたけど
私が元彼に無理して合わせていたと
気づいたことがあった
よくよく考えたら
彼の好きなモノは
私の中にはないもので
だから憧れだったんだろうけど
彼と一緒に居る間
私は私の好きなことを封印してたと
気がついた
自分を生きていないのだから
苦しくて当然だった
じゃ、私は何が楽しんだろう
どんな風に過ごしたかったんだろう
私は本を読んだり
美術館に行ったり
アニメの話で盛り上がったり(笑)
そういう時間を共有したかった
元彼にはそういう要素が無かった
本当に自分が求めているものが見えた時
そんな自分にしっくりくる人が
側にいると気がついた
嫌いだと思っていた先輩だった
本の話も美術の話も
アニメの話もできる
あれ?
もしかしてこの人
本当はいい人かも。。。
一度いいところが見えだしたら
後は良いところだらけだった
心屋を知ってわかったけど
嫌いなところは
私自身が嫌っている私
この人は
私が私でいられる相手かもしれない
そう思って結婚した先輩が夫さん
夫さんの家族も友達も
みんな私のこと歓迎してくれて
みんな喜んでくれた
嬉しかった
あの時
元彼と結婚しなくて良かった
自分を殺したまま結婚しなくて良かったな
おしまい