さて、超急坂の木曽駒ヶ岳八丁坂を登っている途中から後半スタート。
 

2/3程度を登ったところ、傾斜角度は45度くらいはあるのではないだろうかという状態(汗)。ピッケルを雪に刺して支えにしながら登る。だいぶ上まで来ると・・・右の方に階段があるではないか!これは助かった、あそこに逃げればその先は階段で登ることができる!
 
必死に最後のキツイ坂をよじ登り・・・右の階段へとルートを取り、なんとか足場が安定している階段の入口にたどり着いた。そこから階段を登り乗越浄土へ。しかし、よく見るとほとんどの人が階段へと来ている?そうか、これが本来の八丁坂の登山道というわけか。しかし・・・階段を使わずそのまま崖のような斜面を登っている人って・・・(汗)。
 
無事乗越浄土にたどり着き下を見てみるが・・・よくこんなところ登ってきたな(汗)。しかし、登ったということは降りなければならないのか・・・(怖)!まあ、今は考えずに先に進もう(笑)!ちなみに、急斜面中ほとんど画像は撮れていない、それどころでは無かった!この乗越浄土で小休憩し先に足を進めるのであった。
 

乗越浄土から見える宝剣山荘、こちらに寄りトイレを借りることに。1回200円で貸してもらえる。あいにく100円玉がなく500円しか無かったが、ツレが2人分で500円払って後はお礼としようというので、そのようにして100円多く払って使わせてもらうこととした。
 
https://miyadakankou.co.jp/houkensansou

 

 

 
 
宝剣山荘の眼の前には、千畳敷からもその勇ましい姿を見せていた宝剣岳山頂が目の前に見える。宮田高原キャンプ場の管理人さんがよく登ったという山だ。・・・しかし我々ごときが登れる場所では無いため、ササッと先に進むことに。
 

そんな宝剣岳をバックに、低レベルの登山家たち(我々)は歩みを進める。乗越浄土から先はなだらかな地形となっていて、ところどころ雪が溶けて地面が露出していた。ピッケルは一度しまってトレッキングポールに持ちかえる。この雪がある場所とない場所でアイゼンを着けたり外したりしていたので、予想以上に時間がかかってしまった。
 

そして次なる地点、中岳に到着!こちらの奥に木曽駒ヶ岳が控えているのだ。そう、千畳敷から木曽駒ヶ岳は見えないのである。到着すると山頂で小さな三脚を置いて撮影している御夫婦がいたが、うまく撮れないようなので「良かったら撮りましょうか?」と声をかけた。素晴らしい笑顔のお二人をパチリ!すると私達も撮ってもらえた。これが楽しい山のコミュニケーションだ!
 
標高2,925m、かなりの高所だ。ちなみに我々が今までに登った一番高い標高の場所は、昨年登頂した北アルプスの唐松岳の2,696mだ。つまり、八丁坂の前半あたりでその標高はクリアをしてしまっていたのだ。中岳から木曽駒ヶ岳方面を見ると・・・ん???
 

あれは・・・御嶽山ではないか!昔、中山道を歩いたときに、奈良井宿と藪原宿の間にある鳥居峠から眺めたあの御嶽山か!あの時は木陰からうっすら見える程度であったが、今回は見下ろすかのような位置にハッキリと見える。厳密には御嶽山のほうが100m近く標高が高いのだが、下に見えるような気がするのは・・・地球が丸いせいなのだろうか?
 

 さて、中岳を後にし本命の木曽駒ヶ岳へ!雪があるところと地面が露出しているところが交互に現れる(そのたびにアイゼン脱着)。途中、数名がハイマツの方を見て写真を撮っていた。まさか・・・雷鳥がいるのかな?と思いそちらを見てみたが、それらしきものは確認できなかった。ちなみに後日、同日に登山した方々のYAMAPの投稿を見ると、複数名が雷鳥の目撃と画像を上げていた!なんと、やはりあれは雷鳥を撮影していたのか(涙)!
 
 
そんなこんなありながら、木曽駒ヶ岳へ!石の崖を降り山頂山荘へ。そして木曽駒ヶ岳へと雪をかぶった道を登っていると、後から来たお兄さんが「この辺はハイマツの上に雪があるところなので、ハイマツを踏まないようにしてあげてくださいね」と声をかけてくれた。どうやらここは本来の登山道ではなく、先週雷鳥調査に来た人たちが作ってしまった道らしい。雷鳥を調査に来て雷鳥の住処のハイマツの上を歩いていたとは(汗)。
 
上の画像の青い屋根の建物が山頂山荘、そしてそこから右上にルートをとっているルート(黒い点が人)が本来のルートではないルートだ。左側の雪がないところにあるルートが本来の登山道なのだが、おそらくアイゼンを外すのが面倒なので皆雪のあるルートを選んでいたのだと思う(我々も)。中岳から山頂山荘へ降る道も人は少なかった(上画像の道)。
 
 木曽駒ヶ岳の山頂手前からは乗鞍岳や穂高岳、北アルプス方面の山々が(どれがどの山までかはわからないけど)!右の高い山が恐らく穂高岳あたりかな?しかし、先ほどの御嶽山といい、日本を代表する名峰がズラリ!木曽駒ヶ岳山頂まではなだらかな雪面を歩く感じで、キツさは全く無い・・・お、山頂かや見えてきた!
 
 そんなこんなありながら、無事木曽駒ヶ岳に登頂!標高2,955m、過去最高の標高地点に到達したのであった!いやー、宮田高原キャンプ場の管理人さん、あなたのお陰でここまで来れましたよ!!!ありがとうございました!
 
早速置いてあった看板を持ちツレと撮影(自撮り)していると、先ほど中岳で写真を撮った御夫婦の奥さんがやってきて「撮りますよ!これも御縁ですから」と言ってくれた!素晴らしい山の出会い、ありがたく撮影をしてもらうことに。
 

 コチラは山頂からのパノラマ撮影!残念ながら雲が増えてきてしまった!しかしすごいパノラマ!北アルプス、御嶽山、恵那山、南アルプス、そして恐らく八ヶ岳や奥秩父山塊も見えている(と思う)!やはり山頂の世界は格別、コレは登った人にしか味わえないものだ!
 
★山頂から見える山はこの方の記事を御覧ください!
 

 達成感を味わって時計を見るとなんともう12時近く・・・ここまで3時間くらいかかってしまったのか!休憩やアイゼンの脱着でかなり時間を割いてしまったな・・・。雪のない場所を見つけ昼食を作り始める。本日のメニューは池袋にある宮城県のアンテナショップで購入した「たっぷり牛タンカレー」とアルファ米。カレーは一袋に250gも入っているので一つをツレと分けることに。標高が高い事や寒い事もあり火が弱く、しっかりと温まる所までは持っていけなかったが、山頂で食べれば何でもウマい(笑)!

 

 
ちなみに「たっぷり牛タンカレー」との事でお肉もたっぷりだったのだが、我々にはどれが牛タンだったのかよくわからなかった(汗)。

 

 

 

 

しかし動かず山頂にいると寒い!・・・あれ?気づくと山頂には我々ともう一組しかいない!サッサとみんな下山してしまったようだ。天気予報は下り坂、急変する予報でもあるのかと思い、我々も名残惜しくも下山を開始する。帰りは正規の登山道を歩いて下ったのでまたアイゼンの脱着が大変ではあった(汗)。

 

 
木曽駒ヶ岳をバックに、低レベル登山家たちは必死こいて再度中岳を登るのであった。ちなみに帰り道の中岳に登る道は正規ルートではなかったようだ(この非正規ルートも雪があった)。
 
そして1時間ほどで乗越浄土まで戻ってきた!奥に見えるのは中岳。この先に待受けているものは・・・あの八丁坂だ!
 
気を付けて降りなければと手前の階段を降っていると、ツレが階段の石を留めているワイヤーにアイゼンを引っ掛けて転んでしまった!幸い大した怪我もなく済んだが、この先の八丁坂で何かあったらまずい。雪で濡れる可能性もあるので雨具のパンツをはいたりと少し時間を取ってから、いざ八丁坂へチャレンジするのだった。
 
 
※私が八丁坂を下るところをツレが撮影したもの。トリミングしたので画像が小さくスミマセン!
 
下には先を進む一人の男性が。しかしこの男性は怖いのであろう、お尻を雪面に着けずり落ちるような感じで降りていた。気持ちはわかるが、踏み跡(トレース)を崩してしまっていた(汗)!まあ、私が先行するので、一歩一歩新しい踏み跡を作ってツレがあとに続けば大丈夫か。しかし、ガリガリに凍った状態だったらここは地獄であろう(怖)。
 
最初は私も下を見てしまい恐ろしかったが、次第に慣れて怖さもなくなり、かつザクザクとアイゼンの踵で踏み込むとしっかり足が食い込み安定する感じがわかり、徐々にコツをつかんでいった!ピッケルも使い安定を保ちながらザクザク進んだ。コレなら何の問題もないな!と、1/3くらい進み少し角度が緩やかになってきた時である・・・。
『わぁー!』という声が後ろから聞こえた。振り返ると10mくらい後方を進んでいたツレが足を滑らせ滑落し始めた!!!コレは・・・まずい!「ピッケル!」と言ったが、ピッケルは頭の上の方になってしまっていてとても使える状態ではない(汗)。徐々にスピードを上げながら私の左側を滑って落ちて行こうとした!・・・コレは自力で止まることは無理だなと思った。
 
 
 
※画像がないので、私のヘタクソなイラストでご勘弁ください。
※イラストはイメージです。
  
 
その時私はとっさに左手を出しツレの腕を掴んだ!・・・しかし、私も一緒に滑り始めてしまった!・・・が、私は先ほどコツを掴んだ要領で、アイゼンの踵部分を使い自分を支えられる地点を探しながら、かつ右手のピッケルのピックを雪に突き刺した。すると徐々にスピードが落ち、止まることができたのであった!!!
 
止まりはしたものの、ツレは自分の足場を確保できない。私は落ち着かせるように「は〜い、ちゃんと支えているから、落ち着いて自分の体重を支えられる地点を足で探して〜(笑)」と言った。少しテンパっていたものの、ツレは足でもがきながら自分の足場をようやく確保でき、落ち着きを取り戻した。
 
このあと斜面は次第に緩やかになり、無事安心できる地点まで降りることができた。ツレも自分の足でちゃんと降りることができた!滑落したから精神的にも疲れたことであろう。ならばここで本日のメインイベントで心を解きほぐそう!
 
事前に色んな人の雪の時期の八丁坂の情報を見ている中で、「ヒップソリ」というものがいくつか出てきた。「超楽しい!」と評判が良かった。それを読んだあとに近所のトレファクスポーツに行くと、なんとお買い得コーナーにヒップソリが2つで180円で売っていたのだ!コレは・・・木曽駒ヶ岳の神様が楽しめって言ってくださったているな!と即買いしたのだ。鮮やかなピンクと黄色、これをザックの後ろにくくりつけて登山をしていたのだ(上の私が八丁坂を降る画像参照)。
 
踏み跡の無い坂に移動し、まずは私からチャレンジ・・・スタート!いい感じで加速し始めた、コレは・・・楽しすぎる!あはは〜!と、浮かれた頃足元に雪がたまりスピードが落ちてきてしまった(汗)!そして・・・停止(涙)!何度か繰り返したが、水分の多い重雪&誰も滑っていない雪面ということもあり、あまりスピードが出なかったようだ。
 
続いてツレがスタート!おお、順調に加速しているではないか!そう、私の滑ったあとを滑っているので雪が固められスピードが出ているのだ!・・・しかしツレは怖くなってしまい止めてしまった(笑)。私以上にスピードが出ていたのであろう!でもその後再スタートし、楽しそうに(?)滑り降りてくることができたのであった!この感じなら・・・あのまま滑落しても大したことはなかったのかもね、と言えたのは無事だったからであった!
 
転んだり滑落したりしたけど、最後は楽しくソリ遊びまで楽しむことができ大満足であった!ありがとう、木曽駒ヶ岳!とても素晴らしい時間を過ごさせてもらいました!!
 
 
 
 
 
その後15時過ぎにロープウェイ駅に到着、私たちのあとに下山してくる人はほとんどいなかった。おかげてロープウェイも空いていて、サクッと駐車場まで戻る事ができたのであった!
 
帰り道で駒ヶ根にあるAコープに立ち寄り、地場産野菜などのお土産を購入。駐車場から木曽駒ヶ岳方面を見ると、ここからでも千畳敷が見える!いやー楽しすぎ!!!色々とあったけど、素晴らしい時を過ごすことができた。17時過ぎに駒ヶ根市を出発・・・23時ころに帰玉するのであった(汗)。
 
木曽駒ヶ岳、そして木曽駒ヶ岳を教えてくださった宮田高原キャンプ場の管理人さんに、改めて感謝です!!!
 
 
■個人的反省点
今回は3,000m近い標高の山にもかかわらず初心者でも楽しめる木曽駒ヶ岳に行ったが、それは雪のない季節の事であろう。色んな人の意見として冬山でも初心者向けとして紹介されてはいるが、しかし八丁坂はナメてはいけない!千畳敷カールの冬季は雪崩が多発しているポイントでもあるそうだ!はじめは何も調べなかったが、雪山とわかり調べた上でしっかり準備と装備を整えて向かった。
 
しかしツレのアイゼンが合わなかったりと、現地でのトラブルも発生してしまった。やはり初めて使うものは事前に試して問題が無いことを確認しなければならなかった。これが要因では無いと思うが、結果としてツレが階段部分でアイゼンを引っ掛けて転んでしまったり、そして八丁坂で滑落という事まで起きてしまった(結局アイゼンが外れることは最後まで無かった)。
 
幸い、どちらも大きな怪我につながるものでは無かったが、大きな怪我につながった可能性があったという認識で反省しなければいけない。ツレのことなので任せてしまったが、今回のパーティでのリーダー的存在は私であった。ちゃんと事前に確認をしてあげることが必要であった。

しかしツレが滑落したあの瞬間・・・その間10〜15秒程度は物凄くスローな世界であった。この間の自分の思考と行動が物凄くハッキリとしていた。そして全く動じることなく冷静に判断行動できたのは、高い集中力の瞬間であったためでは無いだろうか。私はこれで雪山登山は3回目である。しかもピッケルはこの日初めて使った。大した経験も無かったのだが、当事者(ツレ)がパニックにならないように冷静かつ優しい口調で話をすることができた。この判断と行動には自分でも驚いてしまった。
 
トラブルは突然やってくるものである。その突然にどのような対応ができるか、それが「緊急時の能力」であろう。この緊急時のトラブル対応はかなり個人差が出やすいと思う。そのため、日頃から避難訓練など緊急時に備えた訓練を行っているのだろう。しかし、実際の現場ではうまくいかないことも多い。そのためパニックになり頭が正常に回らなくなってしまい、結果何もできなかった、なんてことだって十分にありえる。
 
この緊急時の能力を、特になんの訓練もしていない私が発揮することができたのだ。これはなぜだろうか?色々と考えたが私が日頃から「大丈夫だろう」ではなく『だめかも知れない』と考えていることが大きいのでは無かっただろうか?
 
私はポジティブな人間ではある。脳みそパラダイスまではいかないが「なんとかなるさ~」的なところがある。しかし、これは結果論であり実は私はネガティブ思考なのだ。大概のことに「だめかも知れない」という思考になり、そのシチュエーションが目に浮かんでしまう。ではその最悪なイメージを回避するためにはどうすればよいのか?その対策を考え解決できてから、やっと安心しポジティブに行動する。つまりはポジティブになりたいがためにその不安要素を先に摘んでしまい、その後に安心して楽しむのだ。
 
あの滑落の瞬間を細かくイメージしていたわけでは無いが、私のネガティブさがある程度「起こり得るトラブル」として事前に頭に描させていたので、パニックにならず冷静に対応できたのではないだろうか?もちろん起こらないように対策するほうが大事ではあるが、それをやっても逃げ切れないのが突然のトラブルである。
 
私は大丈夫、と自信がある人こそ交通事故や登山や自然の中での事故遭難の危険が高いと思う。特に誰も助けてはくれない大自然で遊ぶ・生きるということは、マイナス要因をいかに事前に察知・把握し、それに対しいかに対策を取れるかが成功の鍵となってくるのでは無いだろうか?今回タマタマかもしれないが冷静に対応できたことを自信としつつも、やはり事前の安全対策と準備に力を入れてそもそもの危険を排除できるようにしていかなければならない。これはキャンプにも通じる考え方である。
 
今回の登山は結果としてとても楽しいものとなった。次はどの山に登ろうかと帰り道はツレと盛り上がったのであった!
 
 
さて、次回はこの登山の日から一日挟んで、初の2泊3日のキャンプ旅の予定。キャンプ場も別の場所で電車と徒歩での移動もある。どんな旅になることやら!次回もお楽しみに~!