明るいうちに島を散策した際に湧水の流れる川を見つけておいたので水だけはいつでも飲めるし、不幸中の幸いか、俺と彼女のかばんは俺たちと一緒に波打ち際にたどりついていた。船の上で食べようとしていたおやつが入っていたので、すぐに餓死する心配はなさそうだ。とはいえ貴重な食料源、俺たちはチョコレートをひとかけらずつ口にした。
「なんだか大変な旅行になっちゃったね。」
彼女が笑いながらそう言った。確かにこれが旅行ならいい意味で大変なことだ。しかし、これからのことを考えるとそう楽観的にもなっていられない。彼女は言葉を続けた。
「でもね、この島に一緒に流れ着いたのがあなたでよかった。砂浜で倒れているあなたを見つけたときに私ね、ちょっとだけ神様に感謝しちゃったの。」
……彼女がこんな事を言うなんて、正直お世辞でも嬉しかった。しかし俺だって自分の身の程くらいよくわかっている。彼女なりの気づかいだろう。しかし、俺の胸の鼓動は理性とは裏腹に高鳴り始めていた。
「ふふっ♪このまま誰も助けに来てくれなかったら、私たちがこの島のアダムとイブになるのかもね。」
……!?俺は自分の耳を疑った。まさか、彼女の方からこんなことを言い出すなんて。これが俗に言う「吊り橋効果」と言うやつなのか。そんな俺の心を読みすかしたように彼女は俺の後ろに回り、その両手で背中をやさしく包んでくれた。俺はと言うと緊張のあまり後ろを振り向くことができないでいた。しかしその心地よさは、置かれている状況を完全に忘れさせていた。
「……ちょっと恥ずかしいけど、私が合図したらこっちを向いて…。」
そう言うと彼女は俺から離れ、後ろでなにやら準備を始めている。ジッパーを下す音、そして衣のすれるような物音。俺はもう気が気ではなかった。
「…………いいよ…。」
……俺は緊張と興奮を覚えながら、ゆっくりと彼女の方へ目を向けた……。
「ドッキリカメラでした~!wwwwww」
彼女の財力をいかしたこのイベント。その後俺が人間不信で引き籠りに陥り二次元にしか心を許せなくなったのは言うまでもないだろう……。
BAD END
結論
うんやっぱりわしにまじめな話なんて無理。
何だか空知先生的なオチになってしまった猫のパパ