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さてさて、工場見学の後半です。蒸されて、すっかりおいしそうに仕上がった、カツオとマグロ。次は、使用する部位を分けていく作業。専用のナイフを使い、手でひとつひとつ白身肉、血合肉、骨や皮などにより分けていきます。この作業に携わる人は、まずこのナイフの研ぎ方から憶えるそう。まさに職人技の世界です。分別された白身肉の方は、人間用のツナ缶や白身肉ベースの猫用缶詰になっていきます。で、われらが血合肉。こちらは、鶏ササミなどのトッピング素材を加えたりしてから、企業秘密の調味液を加えます。厳重に内容量をチェックして、いよいよ缶詰に。中の空気を抜いてから缶にしっかりフタをして、すぐに加熱殺菌です。当然ですが、品質管理は何より大切。これで完成。と、思ったら、まだまだ。出荷用に箱詰めする前に、缶詰をキレイに洗浄します。これで、やっと完成です。「遠足はおうちに帰るまで」、「缶詰は出荷用の箱に詰められるまで」なのですね。

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ざっと流れをご紹介しただけですが、缶詰づくりって、何人もの人の手仕事で、一缶一缶ていねいに仕上げられています。そんな仕事ぶりも、おいしさの秘密といえそうです。さて、同行のT部長、いよいよ出番です。工場見学の終了後、「黒缶」発売当時のお話を聞きました。

T部長 「黒缶の発売当時、なんていいながら、実は私もまだ入社してませんが。その頃、ウェットタイプのキャットフードとか、缶詰なんてほとんどなくて。期待されたデビューではなかったんです。ところが、発売後は猫がとにかくよく食べると高い評価をいただきました。「黒缶」は総合栄養食なので、猫にとって必要なビタミンやミネラルなどを配合した企業秘密の調味液が入ってるんです。当時はその調味液になにか秘密があるんじゃないかということで、『黒缶には魔法の水が入っている』なんていう噂があったぐらいなんですよ」

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なるほど、魔法の水ですか。歴史のある人気商品にふさわしい逸話ですね。それ以来、ずっとウェットフードのトップブランドとしての地位をキープし続けてきた「黒缶」。その血合肉を使っていること、そして人の気持ちのこもった作業が、「猫の王国 フィッシュイン」のおいしさの秘密ということなんでしょうか。なんだか結論が出たようですが、もう少し続きます。次回は、ちょっと変わった開発秘話をご紹介します。
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今回は静岡にある「黒缶プレミアム」の製造工場に取材。血合肉がどうやっておいしい缶詰になっていくかを見学してきた。なにしろ「猫の王国 フィッシュイン」のおいしさの秘密も血合肉にあるらしい。いよいよおいしさの核心に迫るチャンスなのだ。同行者はアイシアのT部長と担当のOさん。Oさんは、育ちの良いお嬢さまイメージ(真の姿は???)。T部長、仕事よりおいしいもの食べる方が好きという噂もありますが、「黒缶」の歴史にはとっても詳しいとのこと。どこかでお話を聞こうと思います。

さて、いきなり工場見学です。見学前に、専用ウェアに。帽子をかぶってバンドでおさえ、さらにその上から頭巾をかぶって、白衣を着込んでっと。これだけでも汗かいてますが、この後もさらに続きます。専用の長靴に履き替え、コロコロ(粘着テープのローラー)で全身のホコリをとり、手を石鹸でしっかり洗ってからアルコールで消毒し、長靴の底を洗い、エアシャワーを浴びて、すっかりキレイになったところで、ようやく工場見学スタートです。とにかく徹底的に衛生管理されているのだ。

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工場内は、猫がいたら踊りだしちゃうんじゃないかというぐらい、カツオとマグロの濃厚な匂い。思ったよりもたくさんの方が作業中です。研究開発部のM氏「1日に数十トンのカツオとマグロを加工しています。人間が食べる缶詰も、猫が食べる缶詰も、ほとんど同じ工程でつくっているんです。冷凍で届いた魚を一晩かけて解凍。で、翌朝から加工に入ります。」と、今回はその加工から見学。製材所の電動のこぎりのようなもので、スパッと頭と尾を落としたら、大きな冷蔵庫のようなモノに入れていきます。もちろん、冷やすんじゃなくて水蒸気で蒸し煮に。きちんと、専用の温度計で魚の中心温度を図り、火が通っていることを確認します。あら熱を取ったら、皮や骨を取り除きます。ちなみに、カツオやマグロはすてる所がないそうです。皮や骨は肥料に。蒸し加工の際に溶け出した成分まで回収して再利用するんだとか。生命をいただくのだから、すべてむだにしない。そういう気持ち、大切ですね。

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と、ここで一休み。工場内は暑いし、専用のウェアは蒸れるし。ちょっとはフィットネス替わりになったかな。これでもかと汗をかいたのに、体重が減ってなさそうなのは、なぜ?と、意味不明の謎を残しつつ、工場見学は次回へと続く。
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「猫の王国 秘伝のかつおぶし」には、その名の通り、いろんな技やら技術が使われていたことが判明。でも、それを確立するまでにはいろいろなハードルがあったそうです。前回に続いてかつおぶし博士、D氏にご教授いただきました。

かつおぶしの製法は、古来から受け継がれてきた伝統があるはず(だと思うんだけど)。新しい技術を取り入れるのには抵抗もあったでしょうね。何しろ、職人の世界ってガンコな方も多いと思いますし。


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D氏 「旨み濃厚製法」のかつおぶしは、鹿児島県にある枕崎の工場でつくっているんですね。
この製法は伝統的な製法からはタブーとされてきたことをやってもらわなければならなかったのです。ですから、職人さんにこの製法を試してもらうよう説得するのに約1年はかかりました。
さらに、かつおぶしを燻す工程には大きく分けて枕崎式と焼津式があります。枕崎の工場は当然枕崎式です。それぞれ良いところがあるので、枕崎式にプラスして焼津式を取り入れてもらうよう説得しました。これも苦労しました。そりゃあそうですよね、いわばライバルの手法を受け入れるわけですから。

うわあ、いろいろご苦労なされたんですね。ちなみにそのタブーって、知りたいなあ。ちょっとだけでもダメでしょうか。

D氏 かつおぶしづくりというのは、「こうやればうまくなる」と職人が 代々受け継いできたもの。私たちは、その方法を科学的に解明してみたのです。その過程で、アミノ酸の量を最大にする方法がわかってきた。でも、理論的には正しいとわかっても、実際においしいかつおぶしをつくるのには、何度も試行錯誤を繰り返してみなければなりませんでした。枕崎の工場では、最初こそいろいろ抵抗もありましたが、一度納得してからは、積極的に研究に協力してくれました。それこそ、情熱をかたむけて取り組んでくれた。「秘伝のかつおぶし」のおいしさは、技術だけではなく伝統的な技と同じように、「人」に支えられているんです。

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かつおぶし博士の講義、いかがでしたか。伝統の技、科学で解明した理論、それからたくさんの人たちの情熱。こここまですれば、おいしくないわけがない。おいしいに決まっています。でもね、実際に「秘伝のかつおぶし」を食べてみたんですが、本当においしいんです。ご飯のおかずに困ったときにも、ちょうどいいなあなんて思ってしまいました。さて、次回は「猫の王国フィッシュイン」に練り込まれている血合肉ベース製品「黒缶」について、歴史や秘話を静岡の工場に潜入して探ってきます。