ボンジュール!辻仁成 春のパリごはん | JINのブログ

JINのブログ

映画好きです(ネタバレ注意!)
きままにいろいろ…

 

 

これも良かったBSの番組で、辻さんについてよく知らないのですが

いろいろ考えさせられたので、内容紹介書いておきます

 

パリで17歳の息子さんと暮らす、日本人ミュージシャンであり

芥川賞作家でもある、辻仁成さんの日常とごはん作りの紹介

コロナ下ロックダウン中でもあるので、カメラを辻さんに渡して

ご自分で撮影してもらったそうです

 

 

最初は、パリの凱旋門を巡る車の運転の流儀について

辻さんからレクチャー

「ここね、とにかく行くの、突っ込んでいかないと駄目なんだ

 パリは運転荒いからね、譲っちゃ駄目だし事故る」

日本式はここでは通用せず、かえって迷惑になるらしい

すっかり手慣れた様子の運転ぶり

パリ在住20年

道で友人とすれ違って呼び止めたり、お気に入りの川沿いの

散歩道を行けば、路上で宴会していたり(自由だなぁ)

 

折れたけど使っているしゃもじ
息子さんとの暮らしの歴史がしみ込んでいる
 

お住まいの台所では、手早く大胆に料理

「こいつがうまいのよ」

あっという間に出来上がると、息子さんを呼びます

「ゴハン出来たよ」

「はーい」(息子さんは最後まで声のみで参加)

 

 

息子さん10歳の時に離婚

細かい事情は知りませんが、たしか芸能人だった奥様が

パリの家を出ていった?(番組では触れられなかった)

ある晩、息子さんの寝室に行ったら、クマのぬいぐるみが濡れてた

ビックリして顔に触れたら泣いた跡があった

 「僕の前で涙を見せたことなかったから驚いたし、すまない

 気持ちになった」

 「母親の役目もしなくちゃいけない」

 「美味しいゴハン作らなきゃ、ってその時思った」

 

そこで、そういう結論になるところが、すごいですね

 

 

「シングルファーザーになった時、やっぱり心にダメージがあってね」

と淡々と語る辻さん

弱さをさらりと認めてしまう人は、芯が強い気がします

意地でも美味しいゴハンを作ってやろうと奮闘

そして出来上がりを、SNSに上げると

「すごい!美味しそう!」と褒めてくれる、たくさんの人たちがいた

ここに味方がいる、と思ったそうです

離れた場所から、多くの人達に見守られ

料理を作りつづけるうちに、辻さんの体重も息子さんの笑顔も

増えていった

 
 
 

キッチンが楽しくなれば、その家は安泰なのである

                            by 辻 仁成

 

 

 
二人で心の欠落を埋めるように、オーブンの中でふくらむキッシュを
見ていたそうです
 
 

 

八百屋のご主人と慣れた様子でフランス語でやりとりしたり

お気に入りのパン屋のお姉さんにインタビューしたり

両親が離婚した近所のお子さんに、オニギリの作り方を教えたり

料理中、肉が焼ける間に、ギター抱えて歌の練習したり

 

 

最近、海の近くの郊外に家を買ったそうです

息子さんは、日本での教育を受けていないので、やはりフランスが

故郷でありフランス人

これからも傍にいて欲しいのか、と聞いたら、「うん」と答えた

「そういうこと普段、言う子じゃないから」

そばにいることにした

 

 

コロナの影響で、日本でやる予定だったライブコンサートが

何度も延期になった末に、中止になってしまった

 

その為、辻さんはセーヌ河の船の上から、生配信を企画したが

準備がすごく大変ということで周囲の反応は鈍く…

一人で電話をあちこち、かけまくる

夕食の食卓で「頑張るぞ」と言ったら、息子さんは

「出来なかったことは、ないじゃん」とニヒルに笑ったそうでw

その言葉に励まされ、とうとう困難なライブを実現させた

辻さんでした

 

 

誰かを幸せにできた人生って、いいですね

辻さんは家にいられる作家という職業だったことも幸いだったかな

逃げずに息子さんと向き合って、愛を注いだ

 

 

親の使命とは何か、って時々考えるのですが

子供に

①安心できる衣食住を提供する

②ありのままで愛される、無条件の愛があることを実体験させる

 

この2点に絞れるかなって、最近思います

この2点を満たしていれば、いろんな家庭の姿があるとしても

大きく間違うことは、たぶんないんじゃないかと

 

①は比較的簡単かと思いますが、②がわりと難しい

表面上それらしくても、中身が間違っていることがある

優れているから、美しいから、成績が良いから、などなど

だ・か・ら愛される、という条件付きが隠れている場合があるので

要注意ですね

辻さんの家のように、片親しかいなくても十分に愛される子供がいる

逆に、二親揃っていても、本当の愛を貰えず寂しい子供もいる

 

 

あと特徴として

③本当に愛していると、手放せる

一見愛に似ている執着とは違うので、相手の幸せが他にあれば

自分から離れてくのも許容できるんですね

辻さんも、「彼を世界に送り出せる」そういう時が近づいてるのを

知っている

「あいつ、最近色気づきやがって、コロンとか使うんですよ」

料理しながら、ちょっと嬉しそうに言う

 

 

親の愛は、太陽のように日々降り注いで、見返りを求めない

辻さんは「愛をください」という曲のヒットで有名ですが

その人が、むしろ愛を与える側だったという不思議な運命

 

 

 

子供時代、愛を貰えなかった人も多いと思います

何が、本当の愛情なのか実体験ないまま育つと

大人になっても、よくわからない場合が多いんじゃないかな

だって、経験ないし知らないんだから…

 

じゃあ、そういう時、どうしたらいいのか

自分もけっこう機能不全家庭に育ったので、時々考えるんですが

なかなか良い方法は見つかりません

ただ、ひとつの方法として、時を経て今思うことは

「わからなくてもとにかく、自分から出していくこと」なのかなぁと

誰かに愛を注ぐことで、自分も満たされるってことじゃないかと

それが、逆転の法則なのかもしれないと思っています

 

 

辻さんのパリ生活、息子さんと温かいゴハンを囲む食卓

愛と幸せについて、いろいろ考えさせられる

素敵なドキュメンタリーでした