あの屈辱から20分。いよいよ手術へ!はたしてお腹の痛みの原因はなんなのだろうか・・・
半分は現世、半分は幽界。狭間の世界に意識を持っていかれた状態で20分が過ぎた。ベヘリットが手元にあれば、確実にゴッドハンドを召喚していたと思う。
看護師さんがゾロゾロと部屋に入ってきた。いよいよ手術が始まるのだ。
ベッドごと移動が始まる。その間もお腹の痛みは治まらず、少なくとも20分前よりは痛みが増している。巨大なエレベーターに乗り手術室のある階へ。
手術室の一つに運ばれる私。
前回のときは、本当にやばくて、眠らせてください!と叫びながら入室した記憶がある。それに応えてか、手術台に移ってすぐに麻酔のマスクと付けられたと思う(記憶が無い可能性もある)。
しかし、今回はそうではなかった。身体を前後に揺すりながらも、ゆっくりと手術台に上り、横向きにさせられると、背中に麻酔の管を入れたり、腕に針を刺したり。
「もう無理です・・・」
過去の記憶から、手術室に来てしまえば、一瞬で記憶がなくなると思い込んでいた私は、我慢のピークを越えてしまったようです。おそらく、失神に近い状況でしょうか。視界がぼやけ、意識がはっきりしません。
でも、痛みはあるんです!
手術室のスタッフは「もう少しだから頑張って」と励ましてくれますが、その声も遠くで聞こえて返事もできず。
気がついたときには、ICUのベッドでした。
あのまま気を失ったのか、麻酔のマスクが着けられたのかは分かりません。
しかし、意識を失った感覚が無かったので、目を覚ましたときはパニックでした。ここはどこ?手術終わったの?今何時?
たまたま看護師さんがそばにいて、声をかけてくれる。
どうやら無事に手術は終わったらしい。
体中から管が出ているが、痛みは全くない。痛みがない、これがどれだけ幸せなことか。1ヶ月に最大級の痛みを2回も味わうなんて。
しばらくして嫁さんが来て、腸捻転だったと教えられた。血管と腸がぐるぐるに絡まっていたらしい。先生もやってきて、詳細を教えてくれた。
曰く、
・前回の腸閉塞と同様にがんは関係ない
・前回の手術による癒着もなく関係ない
・食事の仕方とか運動不足とか関係ない
あぶ刑事ばりの関係なさで、原因は不明とのこと。
つまり、がんとも関係なく偶然1ヶ月の間に、別々に麻痺性腸閉塞と腸捻転を起こしただけ。
なんだそれ!
納得できるか!
せめて癒着とか関係してろよ!
・・・
主治医からも、そんな患者は初めてだと言われました。
まあ、一つの救いは、腸が絡まらない様に固定してくれたって事ぐらいですかね。
気休めだけど、とはいわれましたが。
嫁さんには日頃の行いだよね、と言われ、兄弟にも戒めだよと言われ、立つ瀬がない私です。
そして、これからの人生、神社でのお祈り事は「二度と腸閉塞を起こさない様に」に決まりました。
~シリーズ「momizoの苦難」~ 終劇