ついこの前、花火は上から見るのが正解と言ったばかりですが(笑)。

 

私は入院中、全力で何か楽しもうとするタイプです。

 

最初の入院の時は、この巨大な白い巨塔のすべてを見て回ろうと、点滴を引きずりながら全エリア、全病棟を制覇しました。

ときには外来の患者さんと一緒に順番待ちをしてみたり、一般の人が入れないところに入って怒られたり。

※この時は胃の全摘手術の入院ですよ!

 

二回目の入院のときは、たまりにたまった小説を読破しようと10冊以上本を持ち込みました。

が、結局集中できずに5,6冊しか読めませんでした。

 

三回目の入院のときは、有線LANがあるのが分かってたので、オンラインゲームをやろうとノートパソコンを持ち込みました。

が、結局仕事をしてました。
 

そんな入院生活で、一番印象に残っている出来事。

 

それは花火。

 

夏の真っ盛りに入院していた私。恒例の夜の徘徊をしていたところ、ふと外を見ると遠くに花火が上がっている。

 

窓は閉めっきりだったこともあって、音は全く聞こえない。けれども、そこから目を離せない。

冷房の機械音だけが響き渡る廊下で、目線の高さで次々と咲いて散る火の花。

まさに打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?ですね。

 

この時ばかりは、僅かながらに寂寥を覚えました。

入院生活で唯一の孤独感です。

 

そんな話を看護師さんにすると、なぜか毎年この日は夜勤なのよ!と憤慨していましたが(笑)。

 

近代的で無機質な病棟と、有機的で儚い花火。

このコントラストが私の琴線に触れたのかもしれません。

 

そして、私は5年前のこの日以来、あれよりも美しいと思った花火はないのです。