タイドラマ『Moorlight Chikin(2023)』は私が去年見たドラマの中でも、とても感動した群像劇です。大衆食堂を経営しているジムを取り巻く家族や店員が葛藤を抱えて、次の一歩の踏み出し方に悩みながら、最後は力強く歩き出すストーリーで大好きなのです。
ストーリーの中で主役のジムは採算が取れなくなってきた店に固執します
それはこの店が死別した恋人と共に作った思い出の店だから_
でも、その思い出は綺麗なだけではなく、恋人は地元に奥さんと子どもがいて結婚していたのです
定期的に地元に帰る恋人を疑わないようにしてたジム_亡くなって初めて真実を知ります
ジムが店に固執する大きな理由です
恋人との時間は、真実だったのか?
自分には妻子を持っていることは知らせず、一緒にダイナーを作り上げた恋人
残されたジムの心の砦はダイナーだけだったのでしょう
ウォンに出会ったことで、元恋人の真実と向き合う為に彼の妻に会うのです
富裕な家の出身だったジムの亡くなった恋人は、家を守らなければなりませんでした
その為に、幼馴染で婚約者だった妻と結婚しました
妻には、ジムに言っていたのと同様に仕事だと言って定期的に家をあけていました
妻は元々サバサバした性格だったのか、夫の死で変わったのかはわかりませんが、ジムのようには引きずっておらず、今を見据えて生きていました
恋人がどちらを愛していたのか、結局知ることはできません
ただ、元恋人は死んでしまい、今ジムの隣にいるのはウォンだということ_
ジムの中でやっと元恋人が葬られたのです
このドラマはサブストーリーが深いので、語らせるといくらでも語れてしまうので困ります
ところが最近ある映画を見ていて、この恋人に妻子がいる設定でショックを受けました
それは『キミの心に刻んだ名前(2020年)/台湾』の中でした。
主人公アハンが、30年ぶりの同窓会で会えなかったバーディに電話を掛けるシーン
バーディの電話に出たのは元妻のバンバンでした
2人は既に離婚していて子どもの事以外はあまり行き来はないと言います
「離婚してようやくわかった_男の子を好きになるのは生まれつきだって
もっと早く気づいていれば私の人生も彼も傷つかずに済んだ」
って涙を流すんだけど、バンバンはバーディーを愛していたんだよね(悲)
この時にジムの恋人の奥さんが重なって見えたんだよね。
奥さんたちの前では良い夫・良き父であろうとしたけれど、奥さんたちは気づいていたんだよね
人と人との関係性は重い_そして難しい_だからこそ尊くて_汚い
そうなのよねえ。。。
そういう切り口をたくさん見せてくれるのでドラマが好きなんだねえ