映画『Summer of 85』公式サイト (summer85.jp)

ブロ友さんのところで紹介されていたショートドラマを見て、この映画を思い出したので視聴しました。※U-NEXTで視聴

 

1985年の夏、16歳のアレックスは、海沿いの田舎町で他の16歳の少年たちのように何となく暮らしている。父親は高校を出たら働けと、母親はお前のしたいようにすれば良いと、学校の先生は文学の才能があるから大学に行って学べと、言ってくれているけれど自分では『どうしたいのか』わからず決めかねている。

 

そんなアレックスの前に突然、ダヴィドが現れる。

夕立でセーリング中に転覆したところを助けに来てくれたのだ。半ば強引に自宅に連れて行かれて、入浴から着替えから甲斐甲斐しく世話をしてくれる。夢見がちで平凡なアレックスの毎日は、優しくてお洒落で綺麗なダヴィドに、愛して愛される幸福感に満たされていた。

ダヴィドはどちらかが先に死んだら、愛の誓いに残された方が墓の上で踊るように言い出す。

最初は困惑して断るが、思いのほか真剣なダヴィドの様子にアレックスは承諾する。

 

2人の前にイギリスから来た21歳のケイトが現れて、ダヴィドはケイトに夢中になる。

自分の目の前でケイトを口説いて朝帰りしたダヴィドと口論になりアレックスは飛び出す。

それを追いかけるように飛び出してダヴィドは事故を起こし帰らぬ人となる。

愛する人の死は、アレックスに喪失感と罪悪感を持たせる。

約束を果たすために墓地で踊り警察に捕まってしまう。

 

この映画は、ダヴィドと出会って僅か60日間の恋と喪失のお話だ。

同じ恋愛でも早くに父親を亡くして人生は有限だから楽しみたいダヴィドと、初めての恋で駆け引きも知らずに沼に引きずり込まれたアレックスでは、重さが違う。

心変わりしたダヴィドが悪いとは言い切れず、一途すぎるアレックスが愚かとも言えない。

そして、警察に捕まったアレックスに判決が出て、彼の短い夏が完全に終わるのだ。

 

ビターな話だけど、最後に死と言う憑き物が落ちたアレックスの笑顔がまぶしいと感じます。

フランソワ・オゾン監督作品