細うで繁盛記 は1970年に日本テレビで放映された花登筺 原作・脚本のドラマです。

私がよく読ませていただいている映画批評のブログを書いてる方が、私のハートをギュッとつかむ古いドラマや映画の話を書いているので、私も思わず「あった!あった!」と思って掘り起こしてしまうわけです。

これもそんな記憶の底から発掘してきた1本です。

 

ドラマの冒頭、テーマソングが流れる前に

「銭の花の色は清らかに白い

 だが蕾は血がにじんだように赤く

 その香りは汗のにおいがする」

というモノローグから始まります。

 

この頃は戦後の復興期に、敗戦の貧困の中で主人公が様々な苦労を乗り越えていくド根性商売繁盛記が多く作られました。

 

主人公の加代は大阪の大きな割烹旅館の娘でしたが、戦争で実家が没落し伊豆熱川の小さな地元の旅館:山水館に嫁いできます。夫の正吾は戦争で子どもは持てない体の男で、性格も何もかもがひん曲がった絵にかいたようなクズ夫><

小姑の正子も兄に劣らずイケずな性格で、嫁の加代をいびって足を引っ張るのを生き甲斐しています。

そんな環境も設備も人間関係もズタボロの中(←多分、これって戦争に負けた日本の状況を描いてたんだと思う)加代は持ち前の器量と才覚で山水館を熱川屈指の高級旅館へ変貌させていく泥臭ーいサクセスストーリーです。

 

うちの母が大ファンで毎週欠かさずハンカチ片手に見てた記憶があります。

と・に・か・く富士真奈美が演じる正子が意地が悪い(苦笑)。大人になってみゃーみゃー言うのは名古屋弁と言われましたが、私の中では正子の

「かよ!おみゃーじぶんがちっとかしこいと思っとろうが、おみゃーの好きにはさせにゃーよ」

とか口角泡飛ばしてまくしたてるのを、すげーと思ってみてた記憶があるのです。

 

主役の加代を演じた新珠三千代は元々は宝塚の娘役で、とても綺麗な人で高潔な理想を持った女将には適役でした。

この亭主となる正吾が戦禍での後遺症を引きずっているとはいえ、そのクズっぷりに全く同情する気になれないのですが、それを滝田裕介が演じていましたが、子供心にこいつは救いようがないわーびっくりとあきれ返るくらい上手に演じていました。

進歩派の大西館の主人を神山繁、大西屋と対立する旧弊派:福原屋の旦那を内田朝雄と良い俳優が揃っていました。

 

花登筺:原作・脚本のドラマはこの他にぼてじゃこ物語(三田佳子)、どてらい男(西郷輝彦)、あかんたれ(志垣太郎)等など大阪を舞台にしたものが多く商売物のど根性ドラマに恋やら家族やらを上手に絡めてあって、甘じょっぱい和食のような旨さだったと記憶しています。こんな泥臭い話は今どきは流行らないでしょうが、時々ちょっと食べたくなりますw

 

上で触れた映画批評のブロガーさんの1日のアップ量をみながら、それにしっかりした感想がついていることに驚嘆しつつ、私はそれを読んで、思い出して懐かしくなったことを残していこうと思います。