#ギイタクパラレル

Ωバース3




身体を起こして、薄いフィルムを手にした如月に聖が敏感に反応する。

「え、だ、やだ、何で着けるの。

 そのままでするって言った」


如月が曖昧に笑う。

「んー?

 この後デートしたくなった。

 途中で具合悪くなっちゃったら困るでしょ?」


こんな時、変に勘がいいのは聖だ。

「嘘」


聖の指が、如月の肩にしがみ付く。

「このままして」


大丈夫だとは思うけど…。


迷う如月を聖は見逃さない。

「入れて」

滅多に使わない、本気の腕力で如月を引き寄せる。


仕方なく如月は気になることを言葉にする。

「いいのか、妊娠して」


一瞬、聖の力が抜ける。

「…え」


如月は身体を離した。

「子宮、下がってきてる。

 お前、βだから発情期か分からない。

 妊娠するかもしれないのにするか?」


聖が唇を噛む。

「…していい」


「やだ、つったろ?

 お前男だろ?

 Ωでもない」


「きさなら、いいってば!」


「…冷静になれよ。

 一時の感情に流されるな」


不安そうに、聖が見上げてくる。

「きさは嫌?」


「そんなことないよ。

 オレは子供の父親になる気持ちはある。

 でも、お前は違うだろ?

 お前は男でいたいんだろ?」


聖が首を振る。

「そんなのどっちでもいい。

 好きなの

 ただ好きなの

 きさといたいの

 俺にはそれだけなの!」


大好き。


ただ好き


もう分かんないくらい好き…



いつもの力になった聖が、如月を抱きしめる。

「お願い…きさ」



ちょうだい?


如月を


如月のこの先を


将来を


人生ごと、ちょうだい?



ねぇ…




je te veux

ジェ.トゥ.ヴー


あなたが…

欲しいんです。