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#BLオリキャラ版




俺は、アパレル系の店の前でしばらく立ち尽くしていた。

これ似合う。

ケーブルニットのセーター、オフホワイト。

似合うというより、着て欲しい。

着た朔也見たい。

絶対カッコいい。

お休みの日、緩くパンツに合わせて。

ソファで、脚組んで…カッコいいだろうな。

見たい。

買って帰っていいかな。

朔也は、特にブランドにこだわる人じゃないけど、ラインのキレイに見える服を選ぶ。

だから、試着しないで買うことはしないのだ。

けど、これ着て欲しい。

いいや、買っちゃお。




朔也が、手持ち付き紙袋を受け取って首を傾げる。

「ありがとう、誕生日でも、バレンタインでもないけど、えー何かの記念日?」

記念日…。

朔也は実のところロマンティストである。

アニバーサリー好き。

多分、付き合った記念とか覚えている。

おそらく初めてキスしたとか、…エッチしたとかも、多分。

言わないけど。

「キャラじゃない」

そうで。

まぁね、あの笑わない朔也さんだからね。

俺だけ、笑う朔也、見れる。

朔也、俺にだけ笑ってくれる。

甘々。

好き。

思わず顔が緩んじゃってて、俺はハッと我に返る。

朔也に覗き込まれた。

「?何笑ってるの?」

「いや、えと、朔也好き」

覗き込まれたままキスされた。

朔也が笑う。

「あんま、可愛い事言うなー?」

「あの、それね、モールうろうろしてたら、目について、朔也に着て欲しくて」

朔也が袋を覗き込む。

「羅奈の俺イメージは、こんな感じかぁ」

「…うん。絶対カッコいい」

「カッコいい、ですか?」

俺は、うなずいた。

朔也が緩く微笑んで、

「着てみる」

「あ、別に今日じゃなくても」

朔也が振り返る。

「これ着た俺見たかったんじゃないの?」

「…うん」

朔也が俺の頬にキスする。

「珍しいね、羅奈が」

うん。

自分でもそう思う。

でも、

見たかったんだ。





着替えて来た朔也。

まぁ、背高いからね、

手脚長いしね、

顔いいしね、

何着ても似合うとは思うんだよ。

でもね、

「朔也、カッコいー…」

朔也が笑う。

「サンキュ。柔らかいイメージなんだなぁ、
 俺こんなに優しく見える?」

優しいよ。

とびきり。

俺には。

「羅奈、こんなに経ってもこんなに長くいても俺にカッコいいとか思う?」

「朔也はいつでもカッコいい…」

朔也が頬にキスをくれた。

「ありがと、
 羅奈もいつも可愛いよ」

その可愛いは、たくさん聞いてます。

「で?今日はお前からお誘い?」

は?

「え?何で?」

朔也が腕を組む。

「男が服を贈るのは、それを脱がせる為っていうぞ?」

俺は、思いっきり首を横に振った。

「違う!そんなんじゃないっ」

「なーんだー、羅奈から脱がされるかと思って、ちょっと興奮するなーと思ってたのにな」

う。本気?

「する。します」

期待は裏切らないべき?

朔也が笑った。

「ばーっか、お前のキャラじゃないだろ?」

朔也の手が俺の髪をくしゃっとなでる。

俺は、思わず目を閉じた。

「朔也」

「でも、他の奴に服は贈るなよ?
 もらうなよ?」

俺は、うんうんとうなずく。

朔也が笑った。

「はい、いい子」

服、贈ったら、朔也、たくさん笑ってくれた。

服以上のプレゼント。

朔也、

ありがと。

服も、朔也も

カッコ良かったよ。

あとね、

やっぱ好き…。