#BL
オリキャラ



「そーいえば、お前3月誕生日だったんだろ?
   一条さんが東京行く前に、何もらったの?」

  あまり、物のやりとりはない二人なのだが。

「…響たちが書いてくれたじゃん」

  羅奈が何故か照れてうつむく。

  オレ達が、書いた?って何を?

  響は、そこで思い出す。

  ああ。

  …婚姻届だ。

  確かに保証する成人二人、の欄にヒロと書いたな。印鑑まで押したわ。

「そーいや、お前が何で『妻』?」
 
  響が、羅奈へ尋ねる。

  確か欄にはそっちが羅奈だったはず。

  そういうのに、すごくこだわりそうな一条さんなのに。

「俺が、小此木の姓あまり好きじゃないから」

  あーね、と響はうなずいた。

「一条さんが、羅奈を嫁扱いするわけないと思ったからさ。そっか」

  羅奈の表情が曇る。

「でも写真撮られた」

「え?エロいの?」

  羅奈が響を小突く。

「誰がだよ。そんな趣味ないよ。
   お嫁さんのベール被せられて、撮った」

「マリアベール?」

「よく知ってんね」

  響が、考える。

「羅奈、それお嫁さんじゃない」

「え?」

  女扱いされて、すごく怒ったのに。ケンカになったのに。

  といっても、自分が一方的に怒って、朔也は謝ってただけだけど。

「多分、一条さんはお前をお嫁さんじゃなくて、聖母で写したかったんだよ」

  どっちにしろ女では?

「お前は、あの人の救いだから。
   お前に会わなきゃ、今でもセックスする相手あれこれの荒れた日々だろ」

「分かんないよ。俺には」

「でもお前以外には、もう行かないだろ?」

「…と思うよ」

  響は、椅子に背を預けて寝そべるくらいまで、体を伸ばした。

「行くもんか。あの人が。
   まーったくお前以外に興味無い」

  響が自分達が刻印した、書類を思い出す。

「一条 羅奈かぁ。
   うわ、可愛い。めっちゃ可愛いな」

   一条さん、めっちゃ喜んだろーなー。
  羅奈より、一条さんの方がよほどロマンティストなのだ。
  は、オフレコにしとこう。

   羅奈は、あまり形がどうこういうタイプじゃないから。

  一条さんの一生を自分に向けてもらえることを、静かに心で抱きしめる感じ?

「今度の連休、準備してる?」

「うん」

「コンドームやろか?持ってる?」

  羅奈が買うとは思えなくて、響は言ったのだが。

  羅奈は、可愛い猫目をびっくりさせて見開いた。

「!はい?何ソレ」

  女の子と別れて来、ご無沙汰な品。

  驚かれた響の方が、よほど驚きだ。

「うっわ、お前中出し…」

  羅奈は、響の口を止めた。

「やめて、響」

「やめねーよ、何だよ。
   一条さん、お前に優しいとばっか思ってた。
   使わねーの?」

「やめてよ響、朔也のせいじゃないから」

  一条さんじゃない?

「お前の方か」

  羅奈が、黙ってうなずいた。

「だって…しない方がよくない?」

「一条さんはね。イイだろね」

「朔也は、使うって言ったよ」

「じゃお前?そんっなに、変わんないだろ?使えよ、体調悪くなんだろ?」 

  響の言う事は、分かるけど。

「俺の思い込み…だよね」

「あー、生で行きたい訳ねー。薄い隔りなく」

  なんだ。羅奈がセックスしたい側なんだ。

  へー。意外。

  の割には響が隣にいても、全然そんな雰囲気にはならない。響は、どっちでもいけるので、羅奈さえOKなら一度くらいお手合わせ願いたいところなのだが。

  セックスしたがる羅奈。

  うわ、萌え。

  一条さん、たまらないな。

  人って、ギャップに萌えるらしいけど、羅奈なんてそれの最たるものじゃないか。

  ああ、だから一条さんが、羅奈に近付くヤツらに過敏に反応するのか。

  羅奈は、一見ストイックだから。

  まあでも、羅奈がタガを外すなんて一条さんに限ってだけのことじゃないか?

  残念ながら、響には想像だに出来ない。

  こりゃ早めに二人を会わせてやらなきゃいけないなー、と響は使命感を感じた。