感覚が鮮明になっていく度に
「あぁ、また一歩進んだのだな」と感じる。


その度に心のささくれを手離す。
躊躇いもなく、逃がすように。


私が欲しいもの。


嘘にまみれた優しさでも
虚飾にまみれた豊かさでも
空虚に蝕まれた愛しさでもない。

そんなものにすがって何の意味がある。

私は笑顔を浮かべながら
その時を待っている。

そう決めたあの日から
白羽が柔らかい優しさでそばにいる。


いつか私は旅立つ。

その時が来れば
私の分け御魂と共に
空に駆け昇る様に舞い上がる。

本音はもう先を見てる。
今に何もない事を知っているから。

本心はもう空を見てる。
ここに何もない事を知っているから。

私はその時を静かな海の底で
ずっと息を潜めて待っている。


分け御魂の優しさにも甘えながら。


私が守るものは
薄汚れたモノじゃない。


白羽が頬ずりをするように
私の背を撫でる。


その時はそんなに遠くない。


そう思う。