※過去のお話です
結婚して子どもを産む
そうなったからには
お互いの両親にちゃんと会って
話をしなくてはいけない
Kの父親はこの時 入院していました
入院していた病院にお見舞いと
結婚と妊娠の報告をしに
二人で行きました
Kのお父さんは
無言で私に手を差し出し
握手をしてくれ 優しい笑顔で泣いていました
涙を見て 私も泣いてしまいました
「宜しくお願いします 二人でがんばります
お父さん 早く元気になってくださいね」
それだけ言うのが精一杯でした
病室を私だけ出て
Kとお父さんは少し話をしていました
「喜んでたよ」
そう言われて 嬉しかった
次はうちの両親と会ってもらおうと思いました
でも その前に一つ
確認しなくてはいけないことがありました
うちの両親はきっと 私が若すぎるので
反対すると思いました
納得してもらうには
しっかりとした 話し合いができないと
無理だと思ったのです
「この前話した 貯金のことだけどさ
本当は いくらくらいあるの?
うちの親に挨拶してくれるとき
きっと 色々聞かれるよ」
「ああ そうだよね」
「いつまでに籍を入れたいとか
そういう具体的な話をしなくちゃいけない
そうなれば アパートも借りなくちゃいけないし」
「・・・・・・・」
「どうしたの?」
「実は・・・ 全然貯まってない・・・」
「え?」
「この間話をした時に
お前の貯金額を聞いて
俺もなんとかしなくちゃいけないと思って
増やさなくちゃと思ってさ
全額 パチンコに使っちゃった」
「・・・・パチンコで増やそうとしたの?」
「うん でも負けちゃって・・・・」
この時 いくら増やそうとしたからって
全額使っちゃったという彼に
怒りと不信感が生まれました
「全額って言ってもさ・・・
たいした額じゃなかったんじゃないの・・・?」
「俺 今まで貯金とかしたことないからさぁ・・・」
驚きました
私より4歳も年上
さらに高校に行かずに働き始めていたので
この時既に 社会人7年目のKが
一銭も貯金していないと言うのです
更にこの時妊娠が発覚してから
2ヶ月と少し
妊娠3ヶ月目の時でした
子どもが出来たってわかったのに
それでもパチンコ三昧の日々を過ごしていた
あまりの計画性の無さに
怒りが込み上げて来ました
静かに そして小さな声でKに言いました
「そんな無責任な父親なんていらない
一時期 一人で産んで育てる覚悟もしてた
結婚なんてしなくていい
一人で産んで 育てる」
Kは 驚いて 慌てていました
「いや 結婚はするよ 結婚しようよ
ごめん わかった
これから産まれるまでにお金が貯まるように
俺 アルバイトするよ」
「言うだけなら誰でもできる
今までだって 嘘ついてきたじゃん
そんな言葉信じられない」
Kは私に抱きついてきました
泣きながら 謝っていました
「がんばるから がんばるから」
彼を手で押しやって離れ
家に帰りました