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「蒼いフォトグラフ」
もう30年近く前の(!!)松田聖子さんの曲です。
この曲は、ドラマ「青が散る」の主題歌でした。
新設大学に通う学生たちの物語。
主人公・遼平役は、石黒賢さん。
遼平が恋い慕う女子学生・夏子に、二谷百合恵さん。
テニス部が舞台となっていて、なんだかおしゃれな感じのするドラマでしたが、
登場人物たちの思いはすれ違いばかりで
青春時代の切なさも感じさせてくれました。
このドラマの原作が、
宮本輝さん作「青が散る!」
ドラマとは違って大阪の大学が舞台となっていましたが
宮本輝さんが実際に通った「追手門学院大学」がその舞台となっています。
登場人物たちは全員(当然)大阪弁だし
スマートさんなんて全然感じられない、泥臭い学生たちばかりで。
でも、遼平の夏子を想う気持ちの純粋さと
その思いが決して届かない切なさ・・・・
特に、
夏子が婚約者のいる男性を好きになり、家出。
夏子のご両親に家に帰るよう、目を覚ますよう説得してくれと頼まれて
夏子に会いに行く場面。
愛して止まない女性の口から
ほかの男に抱かれているその様を語られているとき・・・・
夏子は、遼平の気持ちがわかっているはずなのに、
どうしてこんなひどいことを言うのだろう?と
腹立たしくさえ思いました。
せつない・・・・
ラストシーンで、
卒業を控えたある雨の日、大学のキャンパスで遼平は夏子と出会います。
久しぶりに顔を合わせた二人ですが、
二人とも、これが最後になるかもしれないだろうこと
そして、確かに、ひとつの季節、ひとつの時代が過ぎていってしまったことを
感じていました。
遼平は、
「俺は何も失わなかった。けれどそれは何も得られなかったのと同じことだ」と
言います。
私は、遼平の年齢はとっくに過ぎてしまっていますが、
遼平の年齢だったころからずっと、この言葉の意味を考えています。
何となくわかるようで
でも、やはりわかっていないのかもしれません。
ただ、言えるのは、
誰の心の中にも「過ぎ去った時代」があり、
青春小説、というジャンルのものを読むと、
忘れかけていたその時代、その時の思いがよみがえるのではないか、
ということです。
宮本輝 作 「青が散る」
私のお薦めの一冊です。
P・S 松田聖子さんの「青が散る」の映像、なんかあんまり良いものがなくて
聖子ちゃんのフォトグラフになってしまいました。
でも、この声が、そのときのレコード(CD?)の声だと思います。