見上げれば空がある。
下を見れば土がある。
前をみればそこには…いつも彼がいた…。
彼はいつも笑っていた。
だから私も笑った。
でもどこか悲しそうな顔をしていた。
何故かわからないけど、私の目から涙があふれた。
「どうしてないているの?」
彼は不思議そうにその青い青いきれいな瞳を私に向けた。
「わからないよぉ……ひっく…ふえぇ…なみだが…とまらないの…」
そう言って泣いている私に彼は
「つらいんだね……いま…楽にしてあげる……」
そう言った彼は私の背中に翼をくれた……
―第壱話 孤独なモノと語る玩具 ――
誰かの叫び声。
誰かの狂っているような笑い声。
救急車のサイレンの音。
まるで、どこかの映画のワンシーンを見ているような感覚。
目の前はただただ赤かった。
頭の芯がぼーっとして、どんどん身体の力が抜けてゆく…。
あ……死ぬってこういうコトなのかな…?
今なら…死んでも…いい…か…な…。
「……お…ねぇちゃん!!!」
妹が私の名前を呼んでいる……。
ぁ…ごめんね……泣かせないって…約束したのにね…。
ごめん…ね…。
泣かないで…。
ほら…可愛いお顔が台無しだよ…?
その涙を拭ってあげたいのに、腕が動かない…。
あぁ…。
動かないんじゃなくて……腕がないんだ…。
なんで…?
どうして…?
私がなにか悪いコトをしたの…?
心あたりがないよ。
「ウソツキ…」
その声を聴くと同時に身体中に激痛が走る。
「あ”あぁ”あぁあ”ぁ”あ”ぁああ”ぁあ”ぁあぁああぁあぁあぁ…!!!!!」
口からこぼれるのは、私の叫び声と真っ赤な…そう…真っ赤な……血…。
でもその声は誰にも聞こえなくて…。
さっきまで泣いていた妹は、私を蔑むような目で見ていた。
まるで私を化け物を見るような目で見て……。
ぐしゅっ!!!!
「―――――!?」
耳元で何かが潰れるような音が聞こえた。
また身体に激痛が走った。
今度は喉から声がでない…。
「やっぱり、お姉ちゃんはウソツキだ…。ウソツキ嘘つきうそつきぃ!!!」
そういって私の身体を踏みつける妹。
言葉にできない激痛が身体中を襲い続ける。
さっきまでの妹とは違っていた。
敵意をむき出しにして、私を踏みつけている。
一回一回私を踏みつける度に身体に穴があいた。
神経が集まっているところを集中的に踏みつける妹。
「や”あぁ”ああぁあぁ”あ”あぁあぁ”あ”あ”!!!!!!」
どうして私がこんな目にあわないといけないの…?
どうして…。
「――――――――――――約束したのに……」
プツンと何かが切れたと同時に次第に意識が薄れていった……。
暗闇の中誰かのコエが聞こえる…。
『可愛いウサギのぬいぐるみ。
だけど可愛くない。
どうして?
「ねぇ、どうしてこのウサギさんは真っ赤なの?」
誰も答えてくれない。
皆下を向いているか、泣いているかのどっちか。
私にはおしえてくれない……。
真っ赤なウサギのぬいぐるみに触れようとしたら
「やめなさいっ!!!!!!」
お母さんらしきに怒鳴られた。
その声に身体をビクつかせ、私は小さい声で
「ごめんなさい…」と謝る。
私の腕のナカにはクマのぬいぐるみがいた。
この子は真っ赤じゃないのに、どうしてあのウサギさんは真っ赤なんだろう。
だれかがトマトジュースをこぼしちゃったのかな?
それとも誰かが絵具をこぼしちゃったのかな?』
「この少女は貴女ですか?」
誰かが私に問いかける。
「ちがう…ちがう!!!
こんな女の子しらない!!!!」
『まぁ、そういうことにしておいてもいいでしょう。
おっと。時間が私を許してくれないみたいです。
それでは、次の世界でまたお会いできるといいですね。
たぶん無理でしょうけど。
だって私は玩具ですから。
では、時間がきてしまったので。
貴方と……がこれからの世界を作っていってください。
私にはもうその力はないので…。
この夢はきっと覚えてないでしょうね…。
では…ご機嫌よ…。』
ぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴ!!!!
「んぁ………」
目覚まし時計の音で目がさめた。