読書記録としてちゃんと文章化してきた記録が、現在に追いついてしまったので

少しノートを遡って、まだメモレベルの記録を文章に起こしていこうと思います。

 

2021年11月2日

『挑発する少女小説』(斎藤美奈子著)

「若草物語、赤毛のアン、あしながおじさん…大人になって読む少女小説は

発見に満ちている―表紙帯より」

 

取り上げられている少女小説は、『小公女』『若草物語』『ハイジ』『赤毛のアン』

『あしながおじさん』『秘密の花園』『大草原の小さな家』シリーズ、『ふたりのロッテ』

『長くつ下のピッピ』。

 

面白かったのは、ハイジがアルプスから街に教育を受けるために下山することの意味。

ハイジは街になじめなくて夢遊病を発症し山に帰るが、教育の成果を持ち帰り、山の

住人たちにそれを還元する。この小説が書かれた時代、資本主義の幕開けの時代だそうだ。

教育が個人も地域も豊かにするという考え方もまた推し進められていたらしい。

デーテおばさんは、ハイジとおじいさんを引き離す悪役として、またクララの家の家政婦

もハイジを厳しく躾ける敵役として登場するが、見方を変えると、ハイジに知識と教養を授ける一翼を担っているのが興味深い。

 

『あしながおじさん』は「シンデレラストーリー」という反面、「道楽中年が小娘に

翻弄される話」でもあるという指摘は、往年のフレッドアステアのミュージカル映画「あしながおじさん」を見たときの疑問を払拭してくれるものだった。

 

『ふたりのロッテ』は冒険談のお約束にのっとり物語が進む。ラスボスは、父の再婚相手。

ロッテの家庭をドイツの比喩と捉える観方をすると、両親はもう一度元の鞘に収まるしかないが、それにしても大人の目から見れば、別れるべくして別れた両親(生き方の違い)の問題は何一つ解決していないのに再婚しても…という気がするのは著者と同感。

 

「少女小説のお約束」として挙げられていた項目(主人公はおてんば、主人公の多くは

(片)親をなくすか登場しない、友情が恋愛を凌駕する世界、少女期からの「卒業」が仕込まれている)がNHKの朝ドラに当てはまる部分が多いのは面白いと思った。