『巨大不明生物特設災害対策本部』は解体されて……。
自衛隊やアメリカ軍も、みんな帰っていってしまいました。
残ったのは。
オトメさん。
それと。
わたし(猫屋敷ねこねこ)
…………。
オトメさんの弟であるサカモトさんが脱藩してから、もう2ヶ月以上になります。
きっと。
寂しさに耐えられなくなって、オトメさんは山で大暴れしていたんじゃないかな……。
通報されて自衛隊やアメリカ軍が来なかったら、今もたぶん……
目的(私利私欲のため)はともかく……。
わたしがもっと上手に立ち回れていたらサカモトさんは脱藩しないで、今もオトメさんとここで暮らしていたかもしれません
そのことで歴史が変わってしまったとしても、それはオトメさん姉弟のせいじゃないし。
そもそも。
サカモトさんが“あの”サカモトさんなのかも、よく分からないし……
とにかく。
オトメさんが落ち込んでるのは事実だし、しばらくそばにいようと思ったのです
…………
……
ずっと元気がないオトメさん。
戦車を踏みつぶし、爆撃機を叩き落した日の面影はありません……。
わたしはわたしで。
これ以上オトメさんが戦わないで済むように、モンスターよけの柵を高くしてみたり。
もっと何かしてあげられないかなあって、毎日いろいろ考えています
だからって。
(いつまでもそばにいることは、できないしなあ……)
いつまでも……そばに……?
ピコーン
「オトメさんのこと、お願いね!」
オオカミくんたちに留守番を頼み、おおいそぎで村を出ました
…………
……
ひだるが来ないうちに、汽車を乗りついで自宅へ向かいます
※“ひだる”は土佐などに伝わる妖怪で、人間に空腹感をもたらすそうです。
夜になって。
地元に到着~
「ありゃ? うちの近所に街ができてるよ」
※某しもべが、モンスターたちのために作った街です。
モンスターの声で外が騒がしいですが、気にしないで寝ます。
あしたは大忙しなのです
…………
……
早朝。
レコードとトロッコと線路が入ってるチェストを開いて……。
鞄(かばん)に、線路をたくさん移しかえていきます
すぐに。
『北東をまわる環状線』で出発
大忙しなのです
『2ばんめの村』が見えてきたところで、途中下車
走って村に向かいます
※第九十一話にして初の“走ってる姿の写真”です。
村の北側にそびえる、大きな大きなお山
もう7月なのに、山頂付近には万年雪が残っています
それを。
やみくもに掘り進みます
大忙しなのです
高さ3マス横2マス、ヒトがぎりぎり通れる小さなトンネルが完成
休むことなく。
線路をひいていきます
ずっと“最寄り駅”のなかったこの村にも、ようやく鉄道が通るのかな?
村の人も、興味津々ってかんじで見ています
線路を設置しながらトンネルを進んだ先には……。
雪解け水が流れる、大自然の風景がありました
線路工事はつづく~よ~
ど~こま~で~も~
猫屋敷家にストックしてあった線路をぜんぶ使った、大がかりな“おせっかい”
いったい何が、この線路を通ることになるのでしょうか
つづく