「相変わらず滅茶苦茶だね」
俺は思わずそんな言葉が出た。
「……一もー
相変わらず童貞そうじゃないのー」
「えっと」
俺は言葉を濁した。
結局、かみさまが用意してくれた女の子とは出逢っていない。
俺が気づかなかっただけなのかもしれないけれど……
「童貞なのね……
私で妥協してみない?」
遥ちゃんが、ニッコリと微笑む。
「そういうのは好きな人とするものじゃん?」
「あら?ノリで捨てる人も結構いるのよ?」
「でも……」
「まぁ、そういうところもいいんだけどね」
「うん?」
俺は首を傾げる。
いいってなんだろう。
どういう意味だ?
「遥、そんなに一をあまりいじめるなよ?
童貞って結構心的につらいらしいからな……」
「って、恋次君には彼女いるの?」
「この間別れたばかりだがな……
大学のボクシングのマネージャーと付き合っていた。
なかなか連絡がとれなかったからな……
愛想をつかれてフラれたんだ」
「早く結婚を決めてあげないからよ」
遥ちゃんが、そう言って嬉しそうにカクテルを口に運ぶ。
「遥飲み過ぎだぞ……」
「飲むよー
お姉さん飲むわよー」
遥ちゃんは、憂かれ気分でカクテルを飲もうとする。
「やめとけってば……」
恋次君が、そう言って遥ちゃんからカクテルが入ったコップを取る。
「もう、恋次って意地悪よねー」
「仲いいね。
ふたりは高校をつ行してからも付き合いとかあったの?」
「まぁ、ちょくちょく会う程度にねー」
遥ちゃんが答える。
「そっか……」
「そう言えば、清空ちゃん見ないわね」
「うん。
清空は、幼稚園の先生をしてるってのをメールで教えてもらったけど……
最近全く会えてないよ」
「全くってどれくらい?」
「もう高校を卒業してからかな……
大学もバイトしながら行っていたのもあるだろうけど……
メールも返事が来ない時も増えたしね。
なんかして嫌われたのかも……」
「そうか……
まぁ、嫌われたってのは違うんじゃないか?」
恋次君がそう言って、烏龍茶を口に運ぶ、
「そっかな……」
「清空ちゃん、貴方に完全に惚れてたじゃない?」
「そうなの?」
俺が恋次君に尋ねる。
恋次君は、驚いた口調で尋ねた。
「気づかなかったのか?」
「え?」
「お前の童貞の原因は、周りの人の気持に鈍感って理由かもな」
恋次君が、そう言って笑った。