スローライフ~第九章:自由とバイバイ…… 04 | ニート脱出大作戦β

ニート脱出大作戦β

~ニートから抜け出す108の方法

――数日後、自宅

 ちっちゃな体だった自由が、さらに小さな箱に収まる。
 自由を失った今、僕には何が残っているのだろうか?
 ただ隣に空がいる。
 それが、せめてもの救いのような気がする。
「あーくん……」
 空が、僕の名前を呼ぶ。
「ん?どうした?」
「あーくん。
 変なことを考えちゃダメだよ?」
「変なこと?」
「自由の後追い自殺とか……」
「それはないから大丈夫だよ」
 僕は、そう言ってお茶を口に運ぶ。
「約束だよ」
「うん。
 空の方は大丈夫?
 落ち着いた?」
「……うん。
 大丈夫。カヲル君のことに関しては目が覚めたよ。
 本当にいいの?私、ここにいて」
「……うん」
「……ごめんね。
 自由のこと押し付けて……
 謝ることしかできなくてごめん」
「気にしなくてもいいよ。
 自由は、僕の子供なのだから」
「でも……」
「僕の子供!
 これだけは、譲れないからね」
 僕がそう言うと空が頷く。
「そうだね。
 あーくんでよかった」
「うん?」
「旦那にしたのあーくんでよかった」
「今度は逃げないでね……」
「うん……」
 空は、小さく笑ったあと涙を流した。

 それから数日後……
 カヲル君は、捕まった。
 空を売ろうとしたように他の女の子も売ろうとしたらしい。
 人身売買の現行犯で逮捕されたのだ。
 一応、空も売られかけたからね……
 空も僕も簡単な事情聴取を受けた。
 そして、朝が来る。
 リビングに向かうと空がテレビを見ながらツッコミを入れている。
「アキラ先輩、ロペより目立ったダメだよー」
 僕は、そのセリフを聞いた瞬間、思わず笑ってしまった。
「あー、あーくんおはよう。
 どうしたの?」
「いや……自由も毎日同じことを言っていたよ」
「そっか。
 流石我が子だ」
 空が、そう言って小さく笑った。
「……そうだね」
「いっぱい愛してくれてありがとう」
 空が、そう言うと僕はうなずく。
「それは、いいって……」
 僕は、自由の頭を撫でる。
 甘いってわかる。
 でも、自由の最後のお願いだから……
 自由の妹か弟を作るって……
 そして、自由のことを教えるんだ。
 僕は、そっと空の体を抱きしめた。

 自由……
 さよなら。
 そして、おやすみ。
 パパは、まだ笑えるよ

-おわり-