――数日後、自宅
ちっちゃな体だった自由が、さらに小さな箱に収まる。
自由を失った今、僕には何が残っているのだろうか?
ただ隣に空がいる。
それが、せめてもの救いのような気がする。
「あーくん……」
空が、僕の名前を呼ぶ。
「ん?どうした?」
「あーくん。
変なことを考えちゃダメだよ?」
「変なこと?」
「自由の後追い自殺とか……」
「それはないから大丈夫だよ」
僕は、そう言ってお茶を口に運ぶ。
「約束だよ」
「うん。
空の方は大丈夫?
落ち着いた?」
「……うん。
大丈夫。カヲル君のことに関しては目が覚めたよ。
本当にいいの?私、ここにいて」
「……うん」
「……ごめんね。
自由のこと押し付けて……
謝ることしかできなくてごめん」
「気にしなくてもいいよ。
自由は、僕の子供なのだから」
「でも……」
「僕の子供!
これだけは、譲れないからね」
僕がそう言うと空が頷く。
「そうだね。
あーくんでよかった」
「うん?」
「旦那にしたのあーくんでよかった」
「今度は逃げないでね……」
「うん……」
空は、小さく笑ったあと涙を流した。
それから数日後……
カヲル君は、捕まった。
空を売ろうとしたように他の女の子も売ろうとしたらしい。
人身売買の現行犯で逮捕されたのだ。
一応、空も売られかけたからね……
空も僕も簡単な事情聴取を受けた。
そして、朝が来る。
リビングに向かうと空がテレビを見ながらツッコミを入れている。
「アキラ先輩、ロペより目立ったダメだよー」
僕は、そのセリフを聞いた瞬間、思わず笑ってしまった。
「あー、あーくんおはよう。
どうしたの?」
「いや……自由も毎日同じことを言っていたよ」
「そっか。
流石我が子だ」
空が、そう言って小さく笑った。
「……そうだね」
「いっぱい愛してくれてありがとう」
空が、そう言うと僕はうなずく。
「それは、いいって……」
僕は、自由の頭を撫でる。
甘いってわかる。
でも、自由の最後のお願いだから……
自由の妹か弟を作るって……
そして、自由のことを教えるんだ。
僕は、そっと空の体を抱きしめた。
自由……
さよなら。
そして、おやすみ。
パパは、まだ笑えるよ
-おわり-