「お前がまさか殴るとはな……!
覚悟はできてるのか?」
カヲルくんが、そう言って笑う。
「なんの覚悟?」
僕は、カヲルくんを睨み返す。
「俺たちにフクロにされる覚悟だ!」
するとマンガやドラマのようにカヲルくんの後ろからガラの悪い男たちが現れる。
そう言えば、カヲルくん自信は貿易会社に努めているけれど……
実家がヤクザだったんだっけな……
「ちょっと、カヲルくん……
それは、やりすぎじゃ……?」
空が、そう言うとカヲルくんが笑う。
「お前にはもう飽きたから。
小遣い稼ぎにお前を売ろうと思ってな、こいつらを連れてきてよかった」
「売るって?」
空が目を丸くさせて驚いている。
「知ってるか?今は人妻ブームなんだ。
だから、お前くらいの歳の女でも金になる」
カオルくんが、そう言ってケラケラ笑う。
「……もう一発殴られたいの?」
僕が、そう言って拳を振り上げるとその腕をヤクザAが掴む。
「手を離したほうが身のためだよ」
「何を言ってんだ?
おっさん。お前はこれからフルボッコタイムなんだよ」
そう言ってヤクザBが、僕の腹部に一撃入れた。
「痛いな……」
僕が、ぼそりと呟いた。
「小野寺……?」
百道くんが、海夜さんと共に現れる。
「おお?あっちの女可愛くないか?」
ヤクザCが、そう言って海夜さんの腕を掴む。
「おい手を離せ……」
百道くんがヤクザCを睨む。
「やんのか?ガキが……!?」
ヤクザDが、百道くんの胸ぐらを掴む。
「やってやろうか?」
百道くんがニヤリと笑う。
「百道くん、君は喧嘩したらダメ」
僕は、そう言って百道くんの胸ぐらをつかむヤクザDの肩をたたいた。
「じゃ、お前も本気出せよ。
こんなヤツらお前なら楽勝だろう?」
百道くんが、そう言うとヤクザDが笑う。
「亜金が楽勝?
笑わしてくれるじゃないか?
弱虫泣き虫の亜金だぞ?」
カヲルくんがお腹を抱えて笑う。
「弱虫の前に一教師ですから……」
僕は、そう言ってアンバランサーを起動させた。
機械音と共にアンバランサーが宙に浮く。
「なんだ?こんな玩具で俺らを倒す気か?」
ヤクザEが、そう言ってアンバランサーに触れる。
するとヤクザの体が痙攣して倒れた。
感電したね。
死なない程度の出力だけど。
「亜金、テメェ何をした?」
「大丈夫、ただ感電だよ」
「クソ亜金が、野郎ども!
この雑魚をぶん殴れ!」
カヲルくんが、そう言ってヤクザたちをけしかける。
――15分後
ヤクザたちが、そのへんに転がり意識を失っている。
「科学の力すげー
一発も殴らずにKOだ……」
百道くんが、そう言って笑う。
「ねぇ、カヲルくん。
ひとつ提案があるんだけど……」
「はぁ?
提案だと?
若いやつならいくらでも呼べるんだよ!」
カヲルくんが、そう言ってスマホを取り出す。
僕は、そのスマホをアンバランサーのレーザーで焼いた。
「君に拒否権はないよ。
二度と空と自由に……
僕たちの関係者に近づかないこと……」
「何を言っている?
空は俺のものだ!」
「でも、売るんだよね?」
「俺のものだ、中古で売って何が悪い?」
「じゃ、ここで焼き殺される?
機械の出力をあげて骨も残らないくらい溶かすよ?」
僕は、そう言って笑ってみる。
「糞が!
お前らいつまで寝てやがる!
さっさとずらかるぞ!」
カヲルくんたちは、その場から逃げ去った。