滋くんたちと食事を終えて、僕は自由と手を繋いで公園を歩いていた。
滋くんたちとは、先ほど別れ自由と歌を歌いながらゆっくりと歩く。
僕は、再び空を見つける。
再び空と目が合う。
「あーくん……」
空が僕の名前を呼ぶ。
「もしかしてママ?」
自由の目が輝く。
空は、自由の方を見る。
「もしかして自由?
大きくなったね……」
空が、寂しそうな口調でそういう。
「やっぱりママなの?」
自由が、そう言って僕の手を離し空に近づく。
「自由……」
空が自由の体を抱きしめた。
自由は、とても喜んでる。
写真でしか見たことのない母親が目の前にいるのだから仕方がないだろう。
自由の気持ちとは裏腹に僕の心はどこか寂しさが溢れていた。
「自由が、病気になったから心配してきてくれたの?」
「病気?
自由、どこか悪いの?」
「自由ね、ファージ病で死んじゃうの」
自由が、そう言うと空が僕の方を見た。
「どういうこと……?」
「空には、関係ないよ」
もし朝のことがなければ僕は空が帰ってきたと思い空との再会を喜んだだろう。
だけど、空は浮気している。
いや、もしかしたら僕が空の浮気相手だったのかもしれない。
そう考えるともやもやが止まらなくなった。
「どうして?
私、自由の親だよ?
病気って聞いたら心配するに決まってるじゃない!」
「何が親だよ!
今までずっとほったらかしておいて……」
「それは……」
空が口ごもる。
「パパ!ママにいじわる言っちゃダメ!」
自由が、そう言って空の体を抱きしめ僕を睨む。
「なんだ?
そのガキは……?」
カヲルくんがそう言って現れる。
どうやら公園のトイレに行っていたようだ。
「カヲルくん……」
僕の言葉にカオルくんは驚いた表情をしている。
「お前、小野寺か?」
「うん」
「そのガキ、お前の子か?」
「うん」
「そうか……
じゃ、空。
そろそろ帰るぞ?」
「帰るって?ママどっか行っちゃうの?」
「ママだと?」
カオルくんが空を睨んだ。
「えっと……」
「とりあえず家で話を聞こうか?」
カヲルくんが、強めの口調で空を睨む。
「ごめんなさい」
空は、小さく自由の体を抱きしめるとそのまま自由の元を離れた。
「……ママ」
自由の小さな声が、虚しく僕の耳に入ってきた。