スローライフ~第二章:自由なソラへ 09 | ニート脱出大作戦β

ニート脱出大作戦β

~ニートから抜け出す108の方法

「ん?小野寺、なんかあったのか?
 元気ないぞ」
 百道君が、僕に気を使ってくれる。
 なんだかんだいっても優しいんだね。
「なんにもないよ。
 むしろなんにもないから元気がないんだよ」
 僕は嘘をついた。
 元気はないのは自由が心配だから……
 でも、それをこの子たちに言う訳にはいかない。
 言った所で何かが変わるわけじゃない。
 今は、この子たちに勉強を教えることだけを考えよう。
「はぁ?なんだよそれ」
「いいからさ……
 今は、ホームルームをはじめるよ」
 そう、今はまずホームルームだ……
「なに今にも死にそうな顔をしてるんだよ?
 シケた面見せんじゃねぇーよ」
 慈君が、僕を睨む。
「僕は、死にそうになってないよ」
 死ぬほど苦しいのは自由の方だ。
「昨日のリベンジだ!
 かかってこい」
 滋君は立ち上がり僕を挑発する。
「はぁ……」
「なんだ?怖いのか?あの機械音がしていないってことは今は起動していないんだろう?
 だったら、お前みたいなやつ一瞬で――」
 滋君がそこまで言いかけた時、僕の体は動いていた。
 僕は、一瞬で滋君の背後まで移動し出席簿で滋君の頭を叩いた。
 軽くね。
「な、何が起きたんだ?」
 百道君が目を丸くさせて驚く。
「簡単なことだよ。
 10秒ほど僕以外の時間を止めたんだよ」
 僕が、さらりと答えると海夜さんがすかさずツッコミを入れる。
「それ簡単ちゃうやん?
 時間を止めるって……え?そんなんノーベル賞並なんちゃうん?」
「そんなことないよ。
 時間を止める技術は、アンバランサーを作る過程で出来たものだし……」
「アンバランサー?」
 百道君が不思議そうな顔で僕の方を見る。
「昨日のバリアだよ」
「ああ……ビームのやつか」
「レーザーだよ」
 百道君のセリフに僕は即答する。
「どっちでもええわ!」
 海夜さんが、そう言って僕と百道君の頭をスリッパで叩く。
「だから、漫才はやめーっての!」
 美樹さんが、ため息混じりに言葉を吐き出す。
「おい!
 小野寺!俺との勝負ついてねーぞ!」
 滋君が、暴れると美樹さんが言葉を投げる。
「慈くんももうやめなって……
 時間を止められたら勝てないってば!」
「なんだと?」
 滋君が、美樹さんを睨む。
「慈くんでは、まだ小野寺に勝てないよ」
「殴られたいのか?」
 滋君が美樹さんに拳をあげる。
「うわ!
 コイツ女に手を出す気か?」
 海夜さんがそう言うと百道君が笑う。
「そりゃ、男女平等の時代だからな」
「うわ!
 サイテーやな自分!」
 海夜さんが、そう言ってため息をついた。