僕は、買い物を済ませると自由と一緒に自宅に帰った。
家についたのは、8時少し前……
晩御飯には少し遅いけれど僕と自由は、のんびりと晩御飯を作る。
自由が歌う。
「美味しいバーグを作ろう。
生きてるバーグを作ろう」
自由は、均等に肉詰めに使うハンバーグの部分を均等に綺麗に作っていく。
恥ずかしながら形を整えることに関しては、僕より自由のほうが上手だ。
「自由、相変わらず上手だね」
「うん!
パパも早く上手にならないとお嫁さんが見つからないですよー」
「パパは、もう誰とも結婚しないよ」
「どうして?」
「ママを待ってるからだよ」
「ふーん。
そっかー」
「うん」
「はい!
出来上がり!
お弁当の分も作ったよー」
「え?」
自由が、そう言ってハンバーグに指を向ける。
「この小さいのが自由の分、この大きいのがパパの分」
自由のこういう気使い誰に似たのかな。
少なくても俺じゃないよね。
かと言って母親にも似てはいない。
ホント、誰に似てるんだろうね。
「パパ、元気ない?」
自由が心配そうに僕の方を見る。
「大丈夫だよ自由。
僕は元気いっぱいだよ」
「本当に?」
「うん、元気100倍パパンマンだよ」
「どれくらい元気?
アンパンマンより元気?」
「さぁ。
どうだと思う?」
「うーん。
パパのアンバランサーは強いけれどアンパンマンのアンパンチは、もっと強いよー」
「パパ、負けちゃうの?」
「うーん」
自由は、少し考える。
「しくしく」
「アンパンマンはね」
「うん」
「悪者しか攻撃しないの」
「そうだね。
いい者のパパは、アンパンマンを殴り放題でアンバランサーで攻撃し放題だね」
「アンパンマンを焼いたらめーだよ!」
「なにを言ってるのかな?
自由さん。アンパンマンの顔はジャムおじさんが焼いているのだよ?
そして、僕の永遠のライバルはジャムおじさんさ……」
「どうして?」
「無償でひたすらパンを焼き続ける。
パパは、そんな人になりたいんだ」
「じゃ、自由はバタコさんになるー
パパの一番近くで一緒にパンを作るのー」
「うん。
ありがとう」
僕は、少し涙が出そうになった。