最終回・ジンクス∞漁猫~最終章:TRY AGAIN06 | ニート脱出大作戦β

ニート脱出大作戦β

~ニートから抜け出す108の方法

――卒業式当日


 卒業生たちが次々と名前を呼ばれていく。
 その中に、葉月先輩もいた。
 葉月先輩はガラにもなく涙を流していた。
 そして、卒業式が終わると僕は、ギターを奏でる。
 するとその場にいた先輩たち全てが僕たちに注目した。
 蜜柑ちゃんが、ベースを奏でるとそれを合図に一曲奏でる。
 キーボードはきちんと用意してある。
 学校にも許可を得ている。
 流石に無許可でこういうことが出来るほど僕たちはやんちゃじゃない。
 最初はざわついていたけれど、川名さんの歌声が響くとその場にいたみんなが静かになった。
 一曲を終えた所で、僕は挨拶をした。
「えっと……
 僕たちは、漁猫と言います。
 この度はご卒業おめでとうございます。
 僕たちは、先輩たちにお祝いを言いたくこの度の卒業ライブを学校に提案し今回のライブを――」
 僕が、そこまで言うと宮崎さんが僕の頭を軽く叩く。
「まどろっこしいわね!」
 そして、蜜柑ちゃんが言う。
「みなさん!聴いてください!
 私たちの歌を!」
 蜜柑ちゃんが、そう言うと先輩たちは歓声をあげた。
「では、葉月先輩!
 キーボードの前に来てください!」
 川名さんがそう言うと葉月先輩に皆の視線が集まる。
「……皆」
 葉月先輩が、今にも泣きそうな顔で僕たちの方を見る。
 なので僕は言った。
「泣くのはこの曲の後にしてください」
 僕は、そう言ってギターを奏でる。
 すると葉月先輩は涙を拭ってキーボードの前まで歩く。
「さぁ、歌いますよ!
 先輩がこっそりと作詞作曲していた歌を!」
 僕がそう言うと葉月先輩が涙声で言う。
「もう、個人情報保護法違反なんだからね……」
 葉月先輩がそう言うとその場にいた先輩たちからの笑い声が上がった。
「さぁ、歌うよ!
 TRY AGAIN!」
 そして、僕たちは奏でる。
 このメンバーで最後になるかもしれない曲を……
 いろんな事があった。
 美紗と護の死。
 川名さんとの出逢い。
 そして、漁猫との出逢い。
 辛いこともたくさんあったけれど……
 嬉しい事も沢山あった。
 僕たちは、まだ終わらない。
 僕たちの物語は、ここからはじまるのだ。



 ―終わり―