ジンクス∞漁猫~第五章:僕のために05 | ニート脱出大作戦β

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~ニートから抜け出す108の方法

「もしも川名さんが僕のことを好きなのなら……
 僕は、僕のジンクスにより川名さんを幸せにする。
 僕のジンクスは、『僕が好きになった人は僕以外の人と幸せになる』。
 だったら!僕が、川名さんのことを好きでいる限り川名さんは幸せになる……」
「一さん……
 でも、私は一さんまで失いたくない!」
「そして、川名さんが僕を好きでいる限り僕は死なないから……」
 僕は、まっすぐと川名さんの目を見る。
「本当に死にませんか?」
「死ぬと思う」
「え?」
「でも、それは何十年も先の話だよ。
 僕は、ずっと川名さんのことを好きでいる……
 だから……」
 僕が、そこまで言いかけた時、川名さんは僕の唇にキスをした。
 そして、すぐに口を離した。
「それ以上言わないでください」
「……そうだよね。
 ごめん、迷惑だよね」
「迷惑じゃないです……
 嬉しいです。
 だけど、それ以上に怖いんです……」
 川名さんは、ぎゅっと僕の胸に顔を埋める。
 そして、言葉を続けた。
「でも、今だけ……」
「え?」
「今だけ甘えてもいいですか?」
 川名さんは、肩を静かに震わせ涙を流した。
「僕は、いつでも川名さんの力になるから……」
「……はい」
 川名さんは、ニッコリと笑った。
 でも、涙がこぼれている。
 だから、僕は、再び川名さんの体を抱きしめた。
 すると川名さんは、耳元でクスリと笑う。
「一さんの胸の音。
 トックン、トックンって伝わってきます」
「……ご、ごめん。
 こういうことに慣れてなくて……」
「いいんです。
 ウブで可愛いです」
「川名さんは、こういうことされたことある?」
「はい……」
「そっか……」
「落ち込まないでください。
 今、好きなのは一さんだけですから……」
「……え?」
「もう言いません」
「えー。
 川名さんの意地悪……」
 川名さんが、笑う。
 なので、僕も笑った。
 暫く僕たちは笑いあった。