朝が来る。
眠い……
起きないと……
起きないとまた美紗に怒られるな……
夏休みくらいゆっくり眠らせてくれたらいいのに……
目覚ましが鳴る。
あ、そうか誰も来ないんだったんだ。
美紗はもう死んだんだ……
僕は、ゆっくりと体を起こした。
美紗は、どうして死んだんだ?
僕は、美紗のこと好きだった。
僕のジンクスが無くなったの?
ねぇ、神様。
僕のジンクス。
どうなったのかな?
僕は、静かに体を丸めた。
悲しい。
悲しいのに涙が出ない。
泣けないってこんなに辛いことなんだね。
ダメだ、美紗がいなくてもしっかりしなくちゃ。
僕は、重い体を起こした。
インターホンが鳴る。
誰だろう……?
僕は、玄関のドアを開けた。
「一さん、おはようございます」
「川名さん?」
「はい」
「どうしたの?」
「朝ごはん作りに来ました」
「え?」
「美紗さんの変わりに……
って、ごめんなさい、迷惑でしたよね」
「うんん。
迷惑じゃないよ」
川名さんの目が、真っ赤だ。
たぶん、ずっと泣いていたのだろう……
それでも、川名さんは精一杯の笑顔を僕に見せてくれた。
だから、僕も精一杯の作り笑顔を作った。