ジンクス∞漁猫~第五章:僕のために02 | ニート脱出大作戦β

ニート脱出大作戦β

~ニートから抜け出す108の方法

 朝が来る。
 眠い……
 起きないと……
 起きないとまた美紗に怒られるな……
 夏休みくらいゆっくり眠らせてくれたらいいのに……
 目覚ましが鳴る。
 あ、そうか誰も来ないんだったんだ。
 美紗はもう死んだんだ……
 僕は、ゆっくりと体を起こした。
 美紗は、どうして死んだんだ?
 僕は、美紗のこと好きだった。
 僕のジンクスが無くなったの?
 ねぇ、神様。
 僕のジンクス。
 どうなったのかな?
 僕は、静かに体を丸めた。
 悲しい。
 悲しいのに涙が出ない。
 泣けないってこんなに辛いことなんだね。
 ダメだ、美紗がいなくてもしっかりしなくちゃ。
 僕は、重い体を起こした。
 インターホンが鳴る。
 誰だろう……?
 僕は、玄関のドアを開けた。
「一さん、おはようございます」
「川名さん?」
「はい」
「どうしたの?」
「朝ごはん作りに来ました」
「え?」
「美紗さんの変わりに……
 って、ごめんなさい、迷惑でしたよね」
「うんん。
 迷惑じゃないよ」
 川名さんの目が、真っ赤だ。
 たぶん、ずっと泣いていたのだろう……
 それでも、川名さんは精一杯の笑顔を僕に見せてくれた。
 だから、僕も精一杯の作り笑顔を作った。