「芸術は爆発だ」
大樹がそう言って笑う。
「お前の能力か?」
亜銀が、大樹の方を睨む。
「だったらどうする?」
「お前から殺す!」
亜銀は、数発の弾丸を放った。
しかし、大樹に当たることなく途中で爆発した。
「無駄だ」
大樹はニヤリと笑うと亜銀の方に突進する。
素早いその動きは亜銀の目では終えず亜銀はあっという間に大樹に顔を殴られる。
そして、それと同時に亜銀の顔が爆発した。
「爆発こそ芸術だ……」
大樹は、そう言って自分の体の周りを爆発させた。
亜金は、それにいち早く気づき由香と薫を抱きしめ爆風から守った。
しかし、亜金には爆風が当たらなかった。
爆風を自分の武器に変え違う方向に飛ばすことにした。
冷静な判断が出来れば、この爆風を大樹にぶつけることが出来ただろう。
だが、亜金はそこまで頭が回らなかった。
「ほう……
俺の爆発が効かないヤツがいるとは……」
大樹は、嬉しそうに笑う。
「みんな無事?」
亜金は、周りを見る。
すると大ダメージを受けている亜銀たちの姿が目に移った。
「く……」
啓司が、舌打ちする。
「啓司!
爆風は無効化出来なかったの?」
「少し反応が遅れてしまった……」
「へぇ……
喋れるヤツもいるんだ」
大樹は、啓司と亜金の方を見る。
「さ、帰るわよ」
クララが冷たい声で言う。
「そうですね……」
月六が冷静な声でそう言うと橘が大きな声で言った。
「待てよ。
俺が売られた喧嘩だぞ?
それを逃げろと言うのか?」
「こんな雑魚、殺す価値もないわ。
それに逃げるんじゃないわ。
生かしてあげるのよ。
もっと強くなって私を楽しませれるくらいにね」
「そうか……
了解、わかった」
橘は、腑に落ちない様子で頷く。
「じゃ、亜金さんごきげんよう。
私たちが見えなくなるまで動かないでね」
クララがそう言うと亜金たちの体が固まる。
「くそ、またこれか……」
啓司が、呟く。
クララたちは笑いながらその場を離れた。
そして15分後……
亜金たちは体が動くようになった。
「2度も生かされたの?」
亜金が、小さな声で言った。
「お姉ちゃんたち大丈夫?」
由香が、玉藻の方を見て言う。
「ああ……
なんとか……」
玉藻は小さく笑った。
「亜銀も大丈夫?」
千春が、亜銀に尋ねる。
「ああ……
なんとかな」
亜銀はそう言って起き上がる。
「くそ……
能力者の精鋭が、これだけそろってこれかよ!」
啓司が怒鳴る。
「舐めていたわ。
まさか、ボマーまでいるなんて……」
「亜金は、無傷か……?」
玉藻が亜金に尋ねる。
「うん……
でも、ごめん、手も足も出なかった」
「出せなくて当たり前だ。
あのクララの絶対王政……
あれに対抗できる何かを手に入れなければ……」
ゼーゼマンが、そう言ってタバコに火をつける。
そして、一同はフラフラしながら山元神社に戻った。