「なんだ?
その目は……」
ハイジが、笑う。
ハイジの目は、狂気に満ちていた。
「別に……
もう、お前なんか怖くないよ」
亜金が、そう言うとハイジが腕に風邪をまとう。
「じゃ、死ねよ」
そして、ハイジは亜金の顔目がけて殴る。
「亜金!」
玉藻が、叫ぶ。
「大丈夫だ」
清が、ニッコリと笑う。
ハイジの腕にまとっていた風がハイジの腕を切り刻む。
ハイジは、右腕を左手で抑えながら亜金を睨む。
「お前!俺の風を自分の武器に変えたのか?」
「その風は、俺に触れようとした。
よくよく考えてみればそうだよね。
俺の能力は、『俺に触れようとする全てのものを武器に変える』
だから、ハイジ。
お前の風も俺の武器へと変えることが出来た」
「糞が!
なら素手でお前を――」
ハイジが、そこまで言いかけた時ハイジの頭に冷たい感触が辺り言葉を止める。
「無駄だ。
お前は、ここで捕獲される」
そう言って現れたのは銃口をハイジの頭に向けた啓司の姿があった。
「啓司?」
亜金が、啓司の方を見る。
「亜金、遅くなってすまなかったな」
啓司は、ニッコリと笑う。
「糞が!糞が!糞が!」
ハイジが、大きな声で怒鳴る。
そして、玉藻の方を見る。
「女!俺は必ずお前を捕獲してやる!
覚悟しろよな!」
ハイジは、嬉しそうに笑う。
そして啓司がハイジの頭を銃で撃つ。
ハイジは、その場で倒れた。
「啓司!
なにも殺さなくても……」
亜金が、そう言うと啓司がため息をつく。
「よく見てみろ。
血が出てないだろう?
俺は、コイツの意識を無くしたんだ。
まだ完全に極めてないから数時間しか効果がないが……
能力者の能力を赤子程度まで下げる俺のお手製の手錠をかければ完成だ」
啓司は、そう言ってハイジの手に手錠をかけた。
「玉藻ちゃんすまないね。
亜金君も……」
清がふたりに頭を下げた。
「そ、そんな……
謝らないでください」
亜金が、慌てふためく。
「そうです。
社長は悪くありません」
玉藻もそう言ってニッコリと微笑む。
「でも、こんなことをして大丈夫?」
亜金が、啓司に尋ねる。
「うん?」
「あの直美って子、酷い目にあわないかな?」
「直美さんの居場所は、もう見当がつている」
「え?」
「モルツビル跡地に橘と恐らく一緒にいるだろう」
「ならば私、ひとりで行く」
清が、そう言うと窓から外を眺めた。