亜金と玉藻は、近所の霊園に向かった。
霊園に向かうとそこにはたくさんの幽霊たちが、集まって雑談会をしていた。
「お?
亜金じゃねぇか!
こんなところで、どうした?」
そう言って現れたのは、浮遊霊の源さんだった。
「あ、源さん。
ちょうどいいところに……」
亜金が、そう言うと玉藻が目を丸くさせる。
「いるのか?
なぁ?そこにいるのか?」
玉藻が、そう言って騒ぐ。
源さんは、見えない玉藻をいいことに下からスカートの下を覗こうとしていた。
「今ね、玉藻の下にいるよ」
亜金が、そう言うと玉藻はスカートを押さえた。
「みるな!」
「もう見た……
水色のリボンじゃった」
源さんが、満足げな表情で答えた。
「そっか」
亜金は、そう言って少し顔を赤らめる。
「なにが『そっか』なのだ?」
玉藻は、そう言って亜金を睨む。
「なんでもない。
それよりも千春の情報集めが先だよ」
「そ、そうだな……」
「源さん、千春知らない?」
「千春って亜金の幼馴染のかい?」
「うん」
「来てるぞ」
「え?
誰かのお墓参り?」
亜金は、耳を疑った。
「どういうことだ?
亜金!誰が墓参りに来てるのだ?」
「千春が、お墓に来てるんだって」
亜金が、そう言うと源さんが答える。
「いや、そうじゃない。
まぁ、ついて来なされ」
源さんが、そう言ってゆっくりと歩きはじめる。
「う、うん……
玉藻、源さんが千春の場所に連れて行ってくれるってさ」
「え?
いるのか?」
「うん。
そう見たい」
亜金が、頷くと源さんに千春の居る場所まで案内して貰った。
するとすぐそこに千春がいた。
「千春!」
亜金は、千春に声をかける。
しかし少し違和感があった。
千春は、泣いていた。
ずっと泣いていたためか目が真っ赤になっていた。
「あれ?亜金……?
私のこと見えるの?」
「千春……
もしかして……」
「うん……
私、死んじゃったよー」
「亜金?
千春ちゃんは、どこにもいないぞ?
どういうことだ?」
「千春が、幽霊になってる……」
亜金の一言で、玉藻が凍り付いた。