この子13~第十章:不幸を喰らう17 | ニート脱出大作戦β

ニート脱出大作戦β

~ニートから抜け出す108の方法



「どうやら脱出成功の様だね」


13が、小さく呟く。


「そのようだな……」


無が答える。
そして一同が、亜金の方を見る。


「みんな、俺の為にごめんね……」


するとプレゲトンが答える。


「こういう時は、ごめんねじゃなくてありがとうでやんすよ」


亜金は、小さく頷いたあと顔を赤らめながら言った。


「みんな、ありがとう」

「今度何かおごりなさいよね」


タナトスが、そう言って笑い亜金を抱きしめる。


「え?」

「そして私の不幸をいつか食べてもらうんだから」


タナトスは、亜金にそっと耳打ちをした。


「浮気者?」


プレゲトンが、小さく笑う。


「ええ?」


亜金が困った顔をしている。


「で、君はこれからどうするの?」


13が、いずみに尋ねる。


「わかりません……」


いずみは、首を横に振った。


「あれだったら、ウチの学校に編入しない?」


美幸が、そう言って学校のパンフレットを鞄から出す。


「いいのですか?
 私は、さっきまで敵だったんですよ?」

「僕は、そんなの気にしないよ。
 亜金君の友達なら僕たちの友達だよ」


いずみが、不安そうに亜金の方を見た。


「そう言うことだよ」


亜金が、そう言うといずみが笑う。


「おねがいします」


こうして玉藻の他にいずみも猫鍋学校に入学することが決まった。
そして、ベルゼブブの動きは一旦動きを止める。
13たちに平穏が訪れる。
平和な学園生活。
13たちは暫くその生活を楽しむことにした。
平穏な学園生活は、13にとって斬新で温かいものだった。
13は、思ったこういう人生も悪くもないと……
いつの間にか、13は心から笑うことが出来るようになった。
幸せとは、こういうものを言うのか……
そう思うと13の心が少し暖かくなるのを感じた。

-第一部:完-