「どうやら脱出成功の様だね」
13が、小さく呟く。
「そのようだな……」
無が答える。
そして一同が、亜金の方を見る。
「みんな、俺の為にごめんね……」
するとプレゲトンが答える。
「こういう時は、ごめんねじゃなくてありがとうでやんすよ」
亜金は、小さく頷いたあと顔を赤らめながら言った。
「みんな、ありがとう」
「今度何かおごりなさいよね」
タナトスが、そう言って笑い亜金を抱きしめる。
「え?」
「そして私の不幸をいつか食べてもらうんだから」
タナトスは、亜金にそっと耳打ちをした。
「浮気者?」
プレゲトンが、小さく笑う。
「ええ?」
亜金が困った顔をしている。
「で、君はこれからどうするの?」
13が、いずみに尋ねる。
「わかりません……」
いずみは、首を横に振った。
「あれだったら、ウチの学校に編入しない?」
美幸が、そう言って学校のパンフレットを鞄から出す。
「いいのですか?
私は、さっきまで敵だったんですよ?」
「僕は、そんなの気にしないよ。
亜金君の友達なら僕たちの友達だよ」
いずみが、不安そうに亜金の方を見た。
「そう言うことだよ」
亜金が、そう言うといずみが笑う。
「おねがいします」
こうして玉藻の他にいずみも猫鍋学校に入学することが決まった。
そして、ベルゼブブの動きは一旦動きを止める。
13たちに平穏が訪れる。
平和な学園生活。
13たちは暫くその生活を楽しむことにした。
平穏な学園生活は、13にとって斬新で温かいものだった。
13は、思ったこういう人生も悪くもないと……
いつの間にか、13は心から笑うことが出来るようになった。
幸せとは、こういうものを言うのか……
そう思うと13の心が少し暖かくなるのを感じた。
-第一部:完-