この子13~第六章:闇よりも深き瞳を持つモノ04 | ニート脱出大作戦β

ニート脱出大作戦β

~ニートから抜け出す108の方法



「じゃ、私は仕事に戻るわ。
 貴方も早く家に帰りなさい」


看護師が、そう言うとタナトスはため息をついてから頷き。
そしてその場から姿を消した。
看護師も暫くしてからその場を去った。

――次の日


亜金は、いつものように学校に向かう。
そして、退屈な授業を受け。
昼休みが、やってくる。
亜金は、晴れの日は屋上でパンをかじる。
それが、亜金のスタイルだった。
亜金が、パンを食べ終え少しだけ昼寝をする。
それが、何よりの楽しみだった。
しかし、その日は違った。


「ここいいかい?」


そう声をかけてきた少年がいた。
亜金は、驚く。
久しぶりに人から声を掛けられたからだ。


「誰?」


亜金は、思わず声を出してしまった。
そして、酷い罪悪感に襲われる。
話をしてしまった。
亜金は、誰ともかかわらない。
亜金は、誰とも群れない。
そうしないと誰かが傷つくからだ。


「僕は、美神 十三……
 この間、転入してきたんだ。
 たぶん、同じクラスだったと思うけど……」

「美神君?」


亜金は、首を傾げる。
そう言えば、そういう人いたな……
女子達が、騒いでいたな。
亜金は、そんなことを思いながら視線を空に向けた。


「空、好きなの?」


13の質問に亜金は、何も答えない。
13は、じっと亜金の方を見ている。
話すのも罪悪感、話さないのも罪悪感。
亜金の胸が、チクリと痛む。


「別に……」


一言くらならいいか……
そんなことを思い声を出した。


「僕も空が好きなんだ」


13が、そう言うと亜金は面倒くさそうに答える。


「そっか……」

「うん」


13は、頷くと亜金の隣に座った。
暫く続く沈黙。
その沈黙はすぐに破られた。


「土方!
 今日は、金持ってきただろうな?」

「……もうお金ないよ」

「ああ?」


男子生徒のその声に十五が、震える。


「お金、もうありません」

「なら盗んで来いよ?」

男子生徒は、そう言って十五を殴る。
亜金は、ため息をつく。
いつもの事だからだ。
亜金は、ゆっくりと隣を見る。
するとそこには13はいなかった。