「大丈夫。
私は、強い子だから」
プレゲトンが、ニッコリ笑う。
清空には、それが無理していることが目に見えてわかった。
だから、辛かった。
でも、清空には頷くことしか出来なかった。
「ご飯……
お腹空いた」
プレゲトンが、そう言ってお腹を押さえる。
「サンドイッチ作ってあるよ。
プレが、大好きなマスタードをたっぷりと塗った特製のサンドイッチをね!」
「わーい」
プレゲトンは、嬉しそうに廊下を走ってリビングに向かう。
そして、机の上に置いてあるサンドイッチを口に運んだ。
「サンドイッチうまうま」
「お姉ちゃん、サンドイッチ好きだね」
6歳の女の子、歩がそう言って笑う。
「うん。
清空さんのサンドイッチ美味しいから……」
「確かに清空さんのサンドイッチは美味しいですが……
僕には、お姉さんの食べるサンドイッチは、少し辛いですね」
頭の良さそうな男の子、充が、そう言うとぽっちゃりした男の子、元太が豪快に笑う。
「食えりゃなんだって、美味いんだよ!」
元太は、そう言ってプレゲトンのサンドイッチに手を伸ばしそれを口に運ぶ。
「美味しい?」
プレゲトンが、元太に尋ねる。
「辛い……」
「もしかして、お子様には、わからない味?」
プレゲトンが、そう言うと子供たちが笑う。
歩、充、元太。
この3人は、プレゲトンと同じく孤児院で暮らす子供たちだ。
子供たちは、プレゲトンが大好きだった。
優しい優しい子供たちのことが……
プレゲトンが、歩たちの頭を撫でるとニッコリと微笑む。
「じゃ、私、学校に行ってくるね」
プレゲトンは、そう言うと玄関に向かう。
「うん、いってらっしゃい」
清空が、心配そうにプレゲトンの方を見る。
「清空さん、大丈夫。
私は強い子だから」
プレゲトンが、小さく笑う。
そして、孤児院を出た。