ピノの旅(小説) | ニート脱出大作戦β

ニート脱出大作戦β

~ニートから抜け出す108の方法

――3月16日俺は、夢を見た。それは、小さな小さな夢だった。休日に家族とお出かけをして、帰りに外食ですませ、少し贅沢な食べ物を食べる。だけど、そう言うのは俺には許されなかった。10年ひと昔と言うけれどそれよりも少し前。今から、12年前のことだった。父さんと母さん、そして産まれたての赤ん坊と一緒に俺は、雪の国に来た。その国の王様と父さんは、話があるらしく俺は子供部屋に預けられた。そこには、俺と同じくらいの年の女の子……6歳くらいの女の子と男の子が、一緒に遊んでいた。男の子は、その女の子のことを“姫”と呼んでいた。女の子は、男の子のことを“座来栖君”と呼んでいた。俺は、部屋の隅でうずくまる。すると“姫”と呼ばれる女の子は、俺の穂に近づいてきて手を差し伸べる。「一緒に遊ぼう?」遊ぶ?遊ぶって何だろう?「遊ぶって何?」俺は、女の子に尋ねる。「えっと、一緒に楽しいことをすることだよ」「楽しいの?」俺が、女の子に尋ねると女の子は大きくうなずいた。「とっても楽しいよ!」「じゃ、遊ぶ!」「うん!」女の子は、楽しそうに笑うと俺の体に抱き着いた。女の子の体は異様なほど冷たかった。「あったかーい」女の子は、嬉しそうに笑う。「……姫、あんまりやるとソイツ凍死するぞ」「あ、ごめん! 大丈夫だった?」「うん。 全然平気だよ」「へ?平気なの?」女の子は、そう言ってじっと俺の顔を見る。「貴方の魔力…… 凄いわね!きっと立派なED乗りになれるわ!」「いーでぃー?」俺が、首をかしげると座来栖君が口を開く。「エレメントドール、まぁ、心の中の作り出すロボットだ」「ふーん」「あ、君興味ないでしょ? 大人になればみんなED乗りになるんだよー」「そうなの?」「うん!」「ふーん」女の子がニッコリと笑い俺の手を握り締める。「君、名前は?」「俺?俺の名前は亜金だよ。 詩空 亜金」俺は、目を覚ます。最近、毎日見る夢だ。館には、誰もいない。広い屋敷に自分ひとり……俺は、朝食を済ませると書籍へと向かった。