「あ……ぐ……ぅ……」
既に無視の息の杉山が俺を凄い形相で睨みました。
「俺は、お前みたいな男が嫌いだ……」
「生憎、そいつもお前の事嫌いだろうよ」
そう言って現われたのは福田さんだった。
「え?」
「福田さんも警察だったの」
由香さんは、クスリと笑って言った。
でもね?
由香さん、それは知ってるよ……
福田さんは、銃を杉山から奪い取ると救急車を携帯で呼んだ。
「猫さんも、事情聴取受けると思うから……
一緒に警察に来てくれるかな?」
「それは、構いませんが……」
「それとも、エッチしていく?」
芝居をしていても、中身は由香さんのままだった。
その時、由香さんの携帯がなった。
「はい、もしもし……
え?本当、わかった……」
由香さんは、そう言うと携帯を閉じた。
「猫さん
尾上さん、目を覚ましたって♪」
「そ、そっか……
よかった……」
「良かったね♪
本当に良かった……」
由香さんは、そう言うと俺の胸に飛び込んできた。
その肩は、カクカクと震えていた。
俺が出来る事は、そんな女の子をただ抱きしめてあげることしか出来ませんでした。
福田さんは、溜息をつくと、杉山を抱えその場を去りました。
気を効かせたのかな??
「ゴメンね、ずっと騙していてゴメンね……」
由香さんは、何度も何度も俺に謝りました。
そうして、一晩、そのホテルで眠った後、俺と由香さんは警察に向かいました。
事情聴取の為に……
事情聴取と言っても、この前の犯人扱いみたいなものではなく……
被害者側の扱いで、とても親切でした。
なんだろう……
この温度差は……
たぶん、由香さんと福田さんの計らいだったと思う。
結局、温かく迎えられながらも、事情聴取で一日が終わりました。
※この物語は、フィクションです。
実在する人物・団体とは、一切関係ありません。