まおうのえにっき:十六話 | ニート脱出大作戦β

ニート脱出大作戦β

~ニートから抜け出す108の方法

朝が来た。

いつもと変らない朝が・・・

万桜は、制服に着替えると、朝食のパンを咥えながら

昨日の出来事を思い出していた。


『結局、昨日、私は何も出来なかった・・・

 結局正体もわからないまま・・・。

 私は何をやっているのだろう・・・』


万桜がぼやいていると、チャイムがなった。


『誰だろう・・・』


万桜はそう思いつつ、玄関を開けた。


『おはよう。』


そこに立っていたのは、尊だった。


『・・・??

 どうしたのだ?』


万桜は、尊に尋ねた。


『姉貴が、先に学校に行ってしまったのでな・・・

 その、学校まで送って行ってはくれぬか??』


万桜は、ため息をつくと、『少し待って』と言い、部屋から鞄を持ってきた。


『そう言えば、今日が初めての登校だったな・・・』


『ああ・・・』


会話が続かなかった・・・

普段なら、メールで何気ない会話が出来たのに・・・

万桜は、昨日の出来事が気になって仕方が無かった。

初任務での失敗。

それが、気になって気になって仕方がなかったのだ・・・


『昨日なんかあったのか??』


尊は万桜に尋ねた。


『え?』


『・・・昨日、姉貴が夜中に外に出かけたからさ。

 少し気になってな』


『そっか・・・』


尊は、ため息を付いた後、万桜に尋ねた。


『何があったんだ?

 今、何が起きているんだ?

 この街には尋常でないほどの神族の数が居る。

 それも、はぐれ神ばかりだ・・・』


万桜が、ここに来た理由と尊がここに来た理由。

それは、全く正反対だった。

万桜は、任務でこの町に来ていた。

恐らくミカも、似たような理由でこの町に来たのだろう・・・

しかし、尊は違う。

半ば娯楽に近い形でこちらに来ている・・・。


『尊が気にする事じゃない・・・』


尊は舌打ちしたが、それ以上追及することはなかった。