まおうのえにっき:五話 | ニート脱出大作戦β

ニート脱出大作戦β

~ニートから抜け出す108の方法

零は頷くと、『しかし・・・』と言葉を続けた。


『しかし、俺達はもう神としての力は殆どない。

神の記憶だけが残っている・・・と言うべきか。』


万桜は、首を傾げた。


『どういう事だ?』


『俺の中の半分以上が人間であり、既に神と俺の意思は同化している。

 俺の意思は人間である零の意志であり、神の意思はないのだ。』


『それは、もう既に美の神は存在しないという事なのか??』


零は横に首を振った。


『俺は人であり神でもある。

 神力こそは、ほとんど残っては居ないが、最低限の力と不老不死の

 力は残っている。

 しかし、やっかいなのが、妹の愛衣だ。』


『そうだ、あの子が神なのなら、神力があるはずだ。

 あの時、私は何も感じなかったぞ?』


『あの子は、愛衣は、神の時の記憶も意思も残っては居ない。

 あるのは、フレイア(愛衣の神の時の名)の再生の力だ。

 しかし、神力はあの子だけ、ヒトと同化する前のままなのだ。』


万桜は、少しいぶかしげな顔をしながら地面を見つめた。


『それは、何もわからないまま、死ぬ事も出来ず、

強すぎる感受性や他人には無い力で悩まされていると言うことか・・・』


零はコクリと頷いた。


『ああ、特に再生の力を、あの子は使いすぎている・・・

神力が切れた時、あの子は・・・』