零は頷くと、『しかし・・・』と言葉を続けた。
『しかし、俺達はもう神としての力は殆どない。
神の記憶だけが残っている・・・と言うべきか。』
万桜は、首を傾げた。
『どういう事だ?』
『俺の中の半分以上が人間であり、既に神と俺の意思は同化している。
俺の意思は人間である零の意志であり、神の意思はないのだ。』
『それは、もう既に美の神は存在しないという事なのか??』
零は横に首を振った。
『俺は人であり神でもある。
神力こそは、ほとんど残っては居ないが、最低限の力と不老不死の
力は残っている。
しかし、やっかいなのが、妹の愛衣だ。』
『そうだ、あの子が神なのなら、神力があるはずだ。
あの時、私は何も感じなかったぞ?』
『あの子は、愛衣は、神の時の記憶も意思も残っては居ない。
あるのは、フレイア(愛衣の神の時の名)の再生の力だ。
しかし、神力はあの子だけ、ヒトと同化する前のままなのだ。』
万桜は、少しいぶかしげな顔をしながら地面を見つめた。
『それは、何もわからないまま、死ぬ事も出来ず、
強すぎる感受性や他人には無い力で悩まされていると言うことか・・・』
零はコクリと頷いた。
『ああ、特に再生の力を、あの子は使いすぎている・・・
神力が切れた時、あの子は・・・』