俺は少女を目の前にして、一瞬固まった。
ありきたりな話だが、初めて会った気がしなかった。
少女は不思議そうに僕のほうを見て、首をかしげながら
こう言った。
『今日、入院なされた方でしょうか?』
僕は一瞬、ドッキっとしたが落ち着いて答えた。
『あ、はいそうです・・・』
少女は優しく笑うと再びオルゴールを鳴らし始めた。
少女は言葉を続けた。
『いい曲でしょ・・・?
一緒に聞いてくださらないかしら・・・?』
僕とその少女の間に、少しだけ不思議な時間が流れた。
【続く】