ある日、クラースの家に一匹のトナカイが迷い込んできた。
そのトナカイは、他のトナカイと違っていたのである。
赤い鼻を持つトナカイ・・・
そのトナカイは何者かに傷つけられたのか、傷だらけだった。
クラース 『どうしたんだ?お前・・・』
トナカイは答えない。
後ろからひょっこりとダンサーが覗き込んできた。
ダンサー 『どうしたんだい?クラース』
それに続いて、キューピットも現れた。
キューピット 『あらあら傷だらけじゃない・・・
狼にでも襲われたのかしら???』
他の6頭のトナカイもその赤い鼻を持つトナカイの
周りに集まってきた。
すると赤い鼻のトナカイは怯えたように体を震わせ
8頭のトナカイの隙間から逃げようとしたが、
すぐに力尽き倒れてしまった・・・
クラースの耳に赤い鼻のトナカイの声が聞こえた。
小さな、小さな声だったけど、クラースの耳には確かに
聞こえた。
『くそ・・・どうして僕ばっかり・・・』
その声は、微かでいてそして寂しそうだった・・・