少年と少女:5話 | ニート脱出大作戦β

ニート脱出大作戦β

~ニートから抜け出す108の方法

少年はずっと一人だった。
少女に出会うまでずっと一人。
生まれたときの事は覚えては居ない。
物心付いたときには一人で森の中で過ごしていた。
ある時、少年は町に出た・・・
森をさ迷いたまたま着いた町、
そこでは、少年と同じ形をした生物が居た。
【人間】と呼ばれる生き物に初めてであった。
その人間の子供達は少年の姿を見ると、石を投げた。

『化け物!!!』

それが少年が初めて少年の事を指された言葉だった。
石は少年の額に当たり、赤い血が流れた・・・
騒ぎが起きたので、その町の大人達が集まってきた。
ただ怖くて怖くてその場から逃げ出した・・・
大人達は武器を構え少年を追いかけてくる。
少年は何が起きたのかも判らなかった。
頭から血が流れる・・・
痛い・・・
痛い・・・
痛い、痛い、痛い・・・
少年は痛みを堪え逃げるしかなかった・・・
それ以後、少年はどこの町に行っても同じような扱いを受けていた。
殺されかけたこともあった。
【人】とはそう言う生き物だと思っていた。
だから、少女が自分を助けてくれた事が嬉しかった。
だけど、気になって気になって仕方が無かった。
じっと見つめる少年の視線に気づいた少女は首を傾げて

『どうしたの?』と言った。

少年は息を呑み少女に尋ねた・・・・

『どうして、あの時助けてくれたの?
 どうして、こんなにも優しくしてくれるの?』

少女は一瞬目を丸くして驚いたが、すぐに優しい顔に戻り答えてくれた・・・