少年はずっと一人だった。
少女に出会うまでずっと一人。
生まれたときの事は覚えては居ない。
物心付いたときには一人で森の中で過ごしていた。
ある時、少年は町に出た・・・
森をさ迷いたまたま着いた町、
そこでは、少年と同じ形をした生物が居た。
【人間】と呼ばれる生き物に初めてであった。
その人間の子供達は少年の姿を見ると、石を投げた。
『化け物!!!』
それが少年が初めて少年の事を指された言葉だった。
石は少年の額に当たり、赤い血が流れた・・・
騒ぎが起きたので、その町の大人達が集まってきた。
ただ怖くて怖くてその場から逃げ出した・・・
大人達は武器を構え少年を追いかけてくる。
少年は何が起きたのかも判らなかった。
頭から血が流れる・・・
痛い・・・
痛い・・・
痛い、痛い、痛い・・・
少年は痛みを堪え逃げるしかなかった・・・
それ以後、少年はどこの町に行っても同じような扱いを受けていた。
殺されかけたこともあった。
【人】とはそう言う生き物だと思っていた。
だから、少女が自分を助けてくれた事が嬉しかった。
だけど、気になって気になって仕方が無かった。
じっと見つめる少年の視線に気づいた少女は首を傾げて
『どうしたの?』と言った。
少年は息を呑み少女に尋ねた・・・・
『どうして、あの時助けてくれたの?
どうして、こんなにも優しくしてくれるの?』
少女は一瞬目を丸くして驚いたが、すぐに優しい顔に戻り答えてくれた・・・