こんにちは、ひでです。

昨日はインプロジャパン主催ワークショップの発表会に、音響スタッフとして参加してきました。
くどいようですが、インプロとは即興演劇の事ですよ。このブログ初見で見てくれてる方もいるかと思うので念のため。
みなさんいつもご来訪ありがとうございます。

昨日は「ベーシッククラス」という、この秋インプロを始めたフレッシュルーキー達のステージでした。
これが中々に見応えのある内容でした!


即興とはいえインプロも、体系化された技術であり、ステージを見せるためのノウハウがあるわけです。
で、もちろん2カ月・週一回の稽古でそれを身につけられる大天才は、この世のどこにも存在しないわけです。
では、そういうインプロ的テクニックで見せることはできない。何で勝負しようか?と、その人が演劇人・表現者なら考えます。


そう考えた時、おおまかに二つの方向性が考えられます。

一つは、演者の魅力そのもので勝負する方法。
お笑いの人が演じる、キャラで押すコントのように、とにかく自分の持っている面白い部分をガッと押し出して見せる。

もう一つは、演者同志で、丁寧に一個一個相手の意思を感じとって、受け入れて、積み上げようと頑張る。インプロの世界では発せられた意思のことを「オファー」と呼びますが、それを拾って、一回自分の中に入れて、打ち返していく。

後者がよりインプロの精神に合致すると僕は考えますが、昨日のチームは奇をてらうことなく、そういう地味で必須な作業を丁寧に積み重ねてシーンを創っていたと思います。

やはり物語を創るにはどっちも重要なのですが、後者のキャッチボールがしっかりできていないと物語そのものが成立しないし、当然お客さんの心の中にも入って行きにくくなります。

演技者を志す人は、どうか「自分の演じたい姿」を夢想する前に、「物語が求める役の姿」というものをイメージしてみて欲しいと、そして自分のやりたいことと相手役のやりたいことは常に当価値だと知って欲しい。
と、演出家のはしくれである僕は切に願っています。
そうすることで、うわべだけだった台詞の応酬が生きた台詞として息を吹き返してくるのです。

僕にとって一番大切なのは上手に演じることではなく、誠実に丁寧に演じること。
それは何だか書道に似ているかも。