家に帰り、とりあえず電話してみた。


「はい、○○事務所ですが」

と少し眠そうな声の男の人が電話口にでた。


少し緊張しながらも、僕は

「あの・・・仕事の面接の件でお電話したのですが」

と切り出した。


なんとか無事応対も終わり、明後日きてくれとの回答をもらった。


履歴書を買い、いざ書き始めると書く事が少ないのが他の誰にでもなく、自分に恥ずかしかった。

写真も撮った、目じりのしわが少しめだち、いつの間にかすごく年をとったように思えた。


思えば、自分自身と向き合ったのも、すごく久しぶりだ。鏡に少し微笑んでみる、お世辞にもいい顔とは言えない笑顔と少し伸びすぎた八重歯さえも、色あせて見えた。


観測所は、電車で二駅行き、そこから歩いて10分くらいの山の中腹にその居を構えていた。

丸いドーム状の建物と灯台のような塔が隣接して、一つの建物を形作っていた。太陽が銀色の建物に反射し、道を登る途中の僕を時々照り返したりしていた。


入り口から中に入ると、左手に事務所がありガラス張りの受付口の奥に4、5人の人が作業をしているのがわかった。

「すいません、仕事の件で電話したものですが」というと

「あ、こっちにきてもらえるかな」と、またしても眠そうな声の小太りの男が言った。

「山本です」と簡単な挨拶を終えると、奥にある応接室らしいところで簡単な質問をされた。


「明日から来てもらえる?」と唐突に山本さんは言った。

僕は、急な言葉に少し驚いたが、

「お願いします」と自分でびっくりするくらいの声で答えていた。


帰り道、まだ実感は少なくて、初めて働くということがこんなにも簡単なことだったなんて、拍子抜けしている自分がいた。

不安より希望のほうが多く、なにをするにも一生懸命やれそうなきすらしていた。


「母さん、働く場所決まったんだ」と、夕飯のときにつぶやくと

「え、早く言ってくれたらもっとご馳走にしたのに」と、うれしそうに聞いてくれた。

どこで働くか、何時からか、などと色々な質問攻めにあったが、いつもの会話とは違って僕も多くの言葉を返すことができた。


僕の生活が大きく変わりつつある今日も、星たちは変わらぬ輝きを保っていた。

今日も、空がきれいだ。


そろそろだな・・・


「時雄、起きなさいー」

母さんの声が聞こえる。


いつも、きっかり8:30にでけえ声で叫びやがる。


「わかってるよ」

いつもと変わらない返事、こんな生活もう1年半続いてる。


一年半前、僕は・・・通ってた大学をやめた。

単純な理由、やりたいことじゃなかったから。


さっさとひとりで決めて、母さんに言った時、少し悲しそうな目をしてたっけな。


それから今日まで仕事を探してる、実際は探しているふりを母さんに続けてるんだが。


「星なんて見てないで、現実を見なさい」と母さんは最近よくつぶやく。


5年前に死んだ父さんにもらった天体望遠鏡で、いつも星を見てるのを知ってるからだ。


宇宙のことを話し出すといつもいやな顔をする、だから僕はもうその話をしないことにしてるんだ。


大きくなるにつれてわかってくる現実・・・

それは、宇宙は心を満たしてくれてもお腹を満たしてはくれないってこと。

夢を語るのと同じくらい宇宙の話なんてどうでもいいことなんだって、わかってるんだ。


仕事探しと言っていつもくる公園で寝転がってそんなこと考えてた。


さっき、コンビニにあった求人情報誌にふと目をやると代わり映えしない記事ばかりが目に入ってくる。


「くだらねぇ、くだらねぇよ、何もかも」

もはや口癖になった言葉をつぶやきながらベンチに寝転がると晴れた空が悲しいほどに心を締め付ける。

求人情報誌が、秋の風に吹かれめくれている。それを遠目で見ていると、ふと気になる記事を見つけた。


前までなかった求人広告「天体観測所の電話番」と書かれている。

18歳から30歳までの男女、内容は電話番、事務作業等、資格などの欄には何も書かれていない。

給料は・・・安い。だが、何故か僕はこの求人に惹かれていた。


なんか自分にあってるかな、まぁ仕事を始めるきっかけなんてそんなもんだろう。

仕事したことない僕が言うのもおかしいが、きっとそうなんだ。


と思うと、今までゴミのように思っていた情報誌が、何か僕と現実とをつなぐ最後の命綱のような気がして、そっとバッグにしまった。


ドルチの触媒!?

ってなんだよ~と僕も思う。


ドルチってのは僕の尊敬すべき荒木飛呂彦先生の書いた短編集にでてくるネコのことだ。

よくハンドルネームで使うことから、ドルチ=ネット世界での僕ってことなのかな。。。


触媒か~とりあえずこのブログを通して。この通すってところが=触媒ってことなのかな。

つまり、僕を知ってもらいたい。のかなぁ。。。適当につけた名前なんだけど心のなかみが少し出てきたのかもしれないな(笑)




とりあえず、このブログでは小説を少しずつ作っていきたいと思う。


まぁほかのことをやるかも知れんけど、とりあえずは小説を書きたい。


書きたいことはあるのだが、なんかいつも途中であきらめてしまう自分がいる・・・

けど、また頑張ってみよう!


そう思ったある夜だった。