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刀で斬られる。

―斬られましたか。

猫舌エンジン:刀を持ってる人が居たので逃げたら、背中からザックリと。

―痛かったでしょ?

猫舌エンジン:斬られて目が覚めたから、そんなには痛くないと思う。

―何があったんです?

猫舌エンジン:家の玄関で兄のような人から、「今のうちに行け」って言われて。

―全然間に合ってませんね。

猫舌エンジン:いや、なんかその人を置いていくのが、つらいんだよ、何故か。

―世話になってたんですかね?

猫舌エンジン:で、つらさを堪えつつ、外に出たら日本刀を持ってる人が居た。

―にきびはありましたか?

猫舌エンジン:うーん、たぶん無かったと思う、よく見たわけじゃ無いけど。

―眼鏡は?

猫舌エンジン:ああ!、それは着けて無かった、スキンヘッドだったね。

―逃げたんですよね。

猫舌エンジン:さっきの兄みたいな人に申し訳なくてね、ぐずぐずしてて間に合わなかったわけだし。

―そして、斬られる、と。

猫舌エンジン:右の耳をかすって首の後ろからは、ちゃんと刃が入ったんじゃないかな。

―そこで目が覚めたんですよね?

猫舌エンジン:惜しいよね、目が覚めなきゃ臨死体験できたかもしれないのに。

―兄のような人がどうなったかも気になりますしね。

走るパイプ椅子。

―椅子が走るんですか?

猫舌エンジン:うたた寝してたら夢を見たんだよ。

―ああ、はい、なるほど。

猫舌エンジン:パイプ椅子に車輪が付いてて車道を走ってるの。

―危ないですよ。

猫舌エンジン:なんかね、そのパイプ椅子の車を盗んだっていう感覚があって…。

―欲しかったんですか?

猫舌エンジン:欲しかったんじゃないかな。

―で、逃げてたんですね?

猫舌エンジン:ただのパイプ椅子なんだけど、ハンドル操作しなくて曲がってたりしたから、なんとなく「ああ、夢かな」って…。

―便利な椅子ですね。

猫舌エンジン:結局、家に付いたら警察が居て、職務質問されて、問い摘められてさ。

―素直に吐いたほうが良いですよ。

猫舌エンジン:いや、わりと素直に話してて、ふと家の窓を見たら、親父が哀しそうな顔してた。

―親が哀しむようなことをしちゃったんですね。

猫舌エンジン:そこで目が覚めたの。

―夢で良かったですね。

猫舌エンジン:走るパイプ椅子は欲しかったけどね。

親父のために

     ―親父さんがどうかしましたか?

猫舌エンジン:いやあ、2週間ぶりに会ったんだけど、もうイライラするね。

     ―何か言われたんですか?

猫舌エンジン:「お前のために~」から始まる忠告が、ずーっと。

     ―あなたのためなんですよ。

猫舌エンジン:いや、「お前のために言ってるんだ」ということだから、本当は僕のためになってないのよ。

     ―え?

猫舌エンジン:言うだけでは何の約に立ってないのだから、まったく僕のためになってないっていうか。

     ―ああ、なるほど(苦笑)。

猫舌エンジン:むしろ、親父のために、「喋り疲れるだけだからやめなさい」って言いたかった。

     ―言わなかったんですか?

猫舌エンジン:親父は言いたいことを言いたいだけだから、こちらからは何も言わないでおこうと思って聞いてた。

     ―親父さんのために(苦笑)。

猫舌エンジン:そう、親父のために(苦笑)。